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  1. 広島県議会 2019-02-05
    平成31年2月定例会(第5日) 本文


    取得元: 広島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-05
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成31年2月定例会(第5日) 本文 2019-02-14 文書・発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言の単文・選択・全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 104 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言・ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長山木靖雄君) 選択 2 : ◯議長山木靖雄君) 選択 3 : ◯伊藤真由美君 選択 4 : ◯議長山木靖雄君) 選択 5 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 6 : ◯議長山木靖雄君) 選択 7 : ◯都市建築技術審議官友道康仁君) 選択 8 : ◯議長山木靖雄君) 選択 9 : ◯土木建築局長三上幸三君) 選択 10 : ◯議長山木靖雄君) 選択 11 : ◯商工労働局長佐伯安史君) 選択 12 : ◯議長山木靖雄君) 選択 13 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 14 : ◯桑木良典君 選択 15 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 16 : ◯総務局長竹中正博君) 選択 17 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 18 : ◯桑木良典君 選択 19 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 20 : ◯土木建築局長三上幸三君) 選択 21 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 22 : ◯桑木良典君 選択 23 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 24 : ◯土木建築局長三上幸三君) 選択 25 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 26 : ◯桑木良典君 選択 27 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 28 : ◯危機管理監(土井 司君) 選択 29 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 30 : ◯桑木良典君 選択 31 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 32 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 33 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 34 : ◯桑木良典君 選択 35 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 36 : ◯土木建築局長三上幸三君) 選択 37 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 38 : ◯桑木良典君 選択 39 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 40 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 41 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 42 : ◯桑木良典君 選択 43 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 44 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 45 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 46 : ◯桑木良典君 選択 47 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 48 : ◯都市建築技術審議官友道康仁君) 選択 49 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 50 : ◯桑木良典君 選択 51 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 52 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 53 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 54 : ◯桑木良典君 選択 55 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 56 : ◯農林水産局長(上仲孝昌君) 選択 57 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 58 : ◯桑木良典君 選択 59 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 60 : ◯桑木良典君 選択 61 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 62 : ◯教育長(平川理恵君) 選択 63 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 64 : ◯桑木良典君 選択 65 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 66 : ◯教育長(平川理恵君) 選択 67 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 68 : ◯桑木良典君 選択 69 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 70 : ◯教育長(平川理恵君) 選択 71 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 72 : ◯桑木良典君 選択 73 : ◯岩下智伸君 選択 74 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 75 : ◯岩下智伸君 選択 76 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 77 : ◯岩下智伸君 選択 78 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 79 : ◯教育長(平川理恵君) 選択 80 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 81 : ◯岩下智伸君 選択 82 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 83 : ◯教育長(平川理恵君) 選択 84 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 85 : ◯岩下智伸君 選択 86 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 87 : ◯教育長(平川理恵君) 選択 88 : ◯副議長(宮 政利君) 選択 89 : ◯岩下智伸君 選択 90 : ◯議長山木靖雄君) 選択 91 : ◯下原康充君 選択 92 : ◯議長山木靖雄君) 選択 93 : ◯知事湯崎英彦君) 選択 94 : ◯議長山木靖雄君) 選択 95 : ◯地域政策局長(小寺 洋君) 選択 96 : ◯議長山木靖雄君) 選択 97 : ◯農林水産局長(上仲孝昌君) 選択 98 : ◯議長山木靖雄君) 選択 99 : ◯経営戦略審議官(山根健嗣君) 選択 100 : ◯議長山木靖雄君) 選択 101 : ◯商工労働局長佐伯安史君) 選択 102 : ◯議長山木靖雄君) 選択 103 : ◯教育長(平川理恵君) 選択 104 : ◯議長山木靖雄君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:         午前十時三十一分開議 ◯議長山木靖雄君) 出席議員五十九名であります。これより会議を開きます。         自第  一 県第一号議案         至第六十一 報第三号 2: ◯議長山木靖雄君) これより日程に入ります。日程第一、県第一号議案 平成三十一年度広島県一般会計予算から日程第六十一、報第三号 損害賠償額の決定についてまでの各案を一括上程議題といたします。  昨日に引き続いて質問を行います。伊藤真由美君。         【伊藤真由美君登壇】 3: ◯伊藤真由美君 皆さん、おはようございます。自由民主党広島県議会議員連盟、安芸郡選出の伊藤真由美です。今次定例会に質問の機会を与えていただき、山木議長を初め、先輩、同僚の皆様に心から感謝を申し上げます。  さて、七月豪雨災害からの復興を図るため、県は八月補正予算以降、一般会計ベースで三千億円を超える予算を計上し、道路、河川など公共土木施設の整備が進み、順次復旧してまいりました。その一方で、自宅家屋の全壊、半壊により災害前と同じような生活を取り戻せておられない方々も多くおられます。  そこで、最初に、被災者の生活支援について質問させていただきます。  一点目は、被災者の見守り活動の推進について伺います。  避難生活が長期化し、引き続き仮設住宅などで暮らす被災者の方々につきましては、心身のケアを行っていく必要があります。また、被災者の生活、住居環境が時間の経過とともに多様化、分散化していく中で、さまざまな支援サービスの提供も必要となっています。  県では、昨年九月に、被災者の方々の早期の生活再建に向けて、見守り、相談などを行う市町の地域支え合いセンターの活動を支援するため、広島県地域支え合いセンターを開設しています。坂町地域支え合いセンターでは、相談員さんによる現況調査や個別支援計画の作成や、個別の見守りや巡回訪問が行われています。坂町平成ヶ浜の仮設住宅にある集会所では、センタースタッフにより毎週百歳体操や茶話会なども開催され、被災者が孤立されないように、ひとりじゃないよと、つながりを大切にしながら活動されています。  多くの被災者が仮設住宅での生活を送らざるを得ない中で、より前向きに日々の生活を送れるようにするためには、地域のコミュニティーの中で、一人一人がみずからの役割を持ちながら、お互いに支え、支えられる関係が広く構築されていくことはとても重要であると思いました。同時に、民間、自治体を含めたさまざまな形での連携や先進的な取り組みの共有、実践の活発化を図っていくことも必要であると考えます。  そこで、被災者の早期の生活再建を支援するため、県と市町がそれぞれ運営する地域支え合いセンターがどのように相互に連携を図り、地域共生社会の実現に向けて見守り活動の推進に取り組んでいくのか、知事の御所見をお伺いします。  二点目は、坂町の災害公営住宅の整備支援についてです。  豪雨災害から七カ月が経過しましたが、今なお住みなれた家を離れて生活を送らざるを得ない人が数多くいます。多くの人は、県が用意した民間の賃貸住宅や応急仮設住宅に身を寄せています。  現在、坂町では、災害公営住宅の整備が検討されており、このたびの県の二月補正予算で整備支援することにしています。さきにお話しした被災地の現状から、コミュニティーの形成に配慮した建物の形状やスペースなどの設置について配慮がなされるとともに、高齢者などの支援の拠点として機能するようにしていくことが、とても重要であると思います。  東日本大震災での災害公営住宅の整備に当たっては、洗濯機を共有スペースに配置したり、入居者同士が井戸端会議ができるスペースを設けたりするなど、高齢者を初め、居住者同士の日常的な交流が生まれるような工夫がなされていたそうです。  そこで、坂町の災害公営住宅について、コミュニティー形成の促進や健康、食品購入などの生活支援などの観点から、県としてどのような支援をされようとしているのか、知事の御所見をお伺いします。
     質問の第二は、災害に強いまちづくりです。  一点目は、砂防・治山施設の整備推進についてです。  水を治むる者は国を治むると、古来より治山治水は国の重要な施策であり、根本となる事業とされてきました。本県は全国でも最も多くの土砂災害警戒区域を有する地域であり、防災の歴史は言わば広島県の災害の歴史と言っていいほど、古くから深いかかわりがあります。文献によりますと、江戸時代、当時の福山藩では、木と石を用いた技術が全盛の時代に石積みによる砂留を多数築造し、百五十年以上たった現在も効果を発揮しています。国土交通省の資料によれば、江戸時代の特筆すべき出来事とされており、このたびの豪雨災害でも一定の効果があったと伺っています。戦後では、百五十九名もの犠牲者を出した昭和四十二年七月に呉市で起こった豪雨災害を契機に、国において、いわゆる急傾斜地法も制定されています。  砂防事業については、広島西部山系とともに、七月豪雨災害による安芸南部山系の砂防ダムの整備が国の直轄事業で行われることとなったほか、県が行う緊急砂防事業についても、県内で計画された八十五カ所全てが国土交通省の補助事業として採択され、そのための事業費も既に確保されています。  先月作成された砂防・治山施設整備計画では、県内十七市町の三百一カ所の渓流や崖地において緊急的な対応を行うこととしています。また、豪雨災害を踏まえた今後の水害・土砂災害対策のあり方検討会の提言書によれば、七月豪雨災害の被災地域における再度災害防止に最優先で取り組むとともに、地域の防災拠点や住宅密集地などを保全する箇所について、予防対策を計画的に進めていくこととし、市町が主体となる小規模な崖崩れ対策や県が主体となる土砂災害対策を組み合わせながら進めていくこととしています。  ただ、県の復旧・復興プランでは、今後五年間で取り組むこととしていますが、施工に当たっては、急傾斜地の所有者などへの合意を取りつける必要もあり、スムーズに進むことばかりではないと思います。県、市町が一層密接に連携した取り組みが必要と考えます。  そこで、県は、今後、再度災害防止を含めた対策を迅速に行っていくことが重要であると考えますが、このたび策定した砂防・治山施設整備計画を踏まえ、砂防・治山事業のスピードアップをどのように図っていかれるのか、また、市町が実施する小規模な崖崩れ対策への支援をどのように行うのか、あわせて知事の御所見をお伺いします。  二点目は、河川の洪水対策の充実強化に向けた取り組みについてです。  本会議でも、これまで多くの先生方が、河川の堆積土、樹木の除去、しゅんせつの必要性について指摘されてきましたが、残念ながら抜本的な対応はされてこなかったように思います。  新年度予算案では、補正予算も含め、河道しゅんせつ、排水機場の整備など、河川関係の事業費として百六十億円が計上されています。今年度当初予算の七十億円から大きくふえており、大変評価しています。一方、あり方検討会の提言書において、河川については今後の対策として治水対策の実施が明記されていますが、実際には県内のどの河川でどのような対策がとられようとしているのか、全体像が見えてきません。  そこで、河川の浸水対策を今後計画的に進めるためには、国、県、市町が連携を図り、砂防・治山施設整備計画と同様な計画を策定していくことも必要であると考えますが、知事の御所見をお伺いします。  三点目は、災害の教訓を後世へ伝承する取り組みについてです。  広島県砂防課は、今から二十年以上前の平成九年に、広島県砂防災害史を冊子としてまとめています。拝見いたしますと、巻末には県内でさまざまな災害に遭われた方々の体験手記が紹介されたり、大変貴重なものだと思います。そして、現在、砂防課では、県民の土砂災害に対する意識の醸成を図るとともに、過去の災害の教訓を伝承していくため、啓発、防災教育、伝承を三つの柱とした土砂災害啓発・伝承プロジェクトに取り組まれています。  熊野町郷土史研究会のこの春の総会では、このたびの豪雨災害を踏まえて、矢野川沿いの災害の歴史や先人に学ぶ防災の知恵や取り組みについて、安芸区の課長さんからお話を伺うことになっています。また、専門家の間でも災害を伝承する重要性についての研究が進んでいます。  地域内で過去の災害経験や知恵を伝承する効果として、過去の災害経験を思い起こすきっかけとなり、そのことが、これまで取り組んできた防災対策について振り返るとともに、見直したり新たに追加する機会となることがわかっています。その理由としては、災害経験や教訓を話すことで、災害の現実を認識し、そのことが防災意識の醸成につながるためだと考えられています。  そこで、本県でも、土砂災害だけではなく地域防災力の向上に向けて、河川の氾濫、ため池の決壊などの写真や体験談などの資料を収集し、広く県民の皆さんが知る機会を設け、災害の教訓を後世へ伝承する仕組みの構築が必要と考えますが、知事の御所見をお伺いします。  質問の第三は、観光振興についてです。  一点目に、観光プロモーションについて伺います。  新年度予算案では、観光プロモーション費用に三億八千六百万円が計上されています。前年度当初予算から五五%のアップ、額として一億三千七百万円の増額です。増額分は、豪雨災害で落ち込んだ観光客の呼び戻しや、新たなキャンペーンのために使われるようですが、広島、宮島、尾道といったいわゆる定番商品に多くの費用がかけられていくのではないかと思います。近年では、個人旅行が主流となり、検索サイトが普及した今、むしろそうしたメジャーな地域の外にある、歴史物語、伝統工芸品やおいしいスイーツ、料理などの知られざる逸品を多くの人に体感してもらう、いわゆるコト消費を呼び起こしていくことが重要ではないかと考えます。  フランス語で、土地や土壌を意味するテロワールを、県内のさまざまな場所で体験できるようにするのです。これまで県の観光プロモーションは、広島や尾道に来た観光客をほかの地域に周遊してもらうことに取り組んできました。いわゆるモデルコースです。そこで、発想を変えて宮島、尾道などを太い糸、さまざまな地域の逸品を細い糸で織り込んで、売り込んでみてはどうでしょうか。コースは観光客自身に決めてもらうのです。  スマホの検索サイトで自由に行動できる時代です。もし、その地域でしか味わえないものがあるとすれば、そこがどんな辺境であったとしても、訪ねられる方も多いと思います。県庁の組織、仕事で言えば、観光課は観光地、観光資源のプロモーションを、ひろしまブランド推進課は町並みや自然、食の情報発信を行っていますが、両者の仕事の一部を一緒にしてしまうということであるかもしれません。  そこで、今後も観光客の増加が見込まれる中、観光消費の効果を県内全域に波及させていくには、観光プロモーションによる、地域の知られざる逸品などの認知度向上対策が重要と考えますが、知事の御所見をお伺いします。  二点目は、せとうちDMOの取り組みについてです。  平成二十八年四月に事業をスタートさせたDMOですが、これまで順調に成果が出ていると思います。先日、アメリカのニューヨーク・タイムズが、二〇一九年に行くべき旅行先五十二カ所を発表しましたが、日本からは、瀬戸内海にある多くの島が七番に選ばれました。広島だけでなく、瀬戸内一帯を面的にDMOという形で売り込むといった戦略は、とても効果的だったと思います。  一方、DMOの取り組みには、民間金融機関からの出資から成るせとうち観光活性化ファンドの機能もあります。富士見町へのヒルトンホテルの進出においても、このファンドが活用されました。  今、広島県は、大変ホテルの予約がとりにくい状況と聞きます。観光庁の統計によりますと、昨年十月の県内のシティーホテルの稼働率は、九〇・九%と全国トップにもなっています。  また、ホテルだけでなく、いわゆる民泊や古民家の一棟借りなど観光客の宿泊も多様化しています。DMOは、愛媛県や徳島県での古民家宿泊施設の開業支援も手がけています。県内にも古民家は数多くあります。熊野町にも今なお二十軒を超えるカヤぶき屋根の民家があります。先日は、御手洗の意欲的な重伝建の古民家オーナーさんとお話をする機会もありました。意欲のある個人と古民家とをDMOがつなぐ、そんなお手伝いを県が担うことも大切だと思います。  そこで、多様化する旅行者の宿泊ニーズに対応するには、泊まりたくなるような宿の開発にも取り組むことが重要であり、そのためには、せとうちDMOの機能をどのように活用していくかが鍵となってくると考えますが、知事の認識はどうか、お伺いします。  質問の第四は、全ての子供を社会全体で育み支える仕組みの充実についてです。  県は、新年度予算案で、家庭での虐待や育児放棄など、さまざまなリスクから子供を守るため、ネウボラや保育所などの福祉・医療部門と学校などの教育機関がリスクを抱える子供たちの情報を早い段階から把握し、子供たちを見守り支援する仕組みを構築するためのモデル事業を行うこととしています。具体的には、県がモデル市町として安芸郡府中町を選び、研究会を設けて、仕組みづくりの検討を進めることとしています。  この子供見守り支援サポート事業に取り組むに至った課題として、県は、子供が家庭でどのような環境のもとで育っているのかをきめ細かく把握することを挙げています。この事業の中核機関の一つ、ネウボラについては、現在、ひろしま版ネウボラの府中町、海田町など県内六市町での取り組みが進められていますが、リスクを抱える家庭への早期の支援につながるなど成果が出ているようです。このような形で県が社会全体でリスクを減らす、よい方向へ導く対策を進めることを、ポピュレーションアプローチと言われており、大変有効であると考えます。  その一方で、リスクを抱える子供を発見した場合の対応も考慮する必要もあると思います。先月、千葉県で起こった小学四年生の女子児童の死亡事件では、子供が見せたサインへの気づき、保護者への対応、児童相談所や学校の対応がまさに問われています。県内の児童相談所が対応した虐待相談件数は、平成二十九年度で三千六百七十八件と、五年間で一千件以上もふえています。  ことし十月の消費税増税に伴って実施される幼児教育・保育の無償化により、県内でも一、二歳児を中心に五千人程度の入所児童数の増加が予測されるなど、今後も数年間は保育所などに預けられる子供がふえることから、さまざまなリスクを把握する機会も多くなるのではないかと思います。そうした状況も踏まえ、子供見守り支援サポート事業の研究や、ひろしま版ネウボラの基本型の形成に取り組みつつ、児童虐待が生じるハイリスク要因にも対応していくことが重要であると考えます。  そこで、全ての子供を社会全体で育み支える仕組みの充実について今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いします。  最後の質問は、動物愛護センター整備事業についてです。  本県では、平成二十三年度に犬猫殺処分数が八千三百四十頭と全国最多となってしまったことを受け、議員の先生方、職員、ボランティア団体の皆さんで終生飼養を深めるための取り組みを重ねてきました。その結果、平成二十八年度についに殺処分ゼロを実現することができ、現在まで維持されています。  四十年近く前に建てられた三原市にある県の動物愛護センターは、譲渡促進する施設ではなく、殺処分する迷惑施設として建設されましたが、老朽化と譲渡促進を図るため広島空港周辺へ移転することが決まっています。新年度予算案では、PFI──民間資金を活用した社会資本整備について導入検討を行うための経費、三千八百万円が計上されています。  今、本県と同様に、全国各地でも動物愛護センターの整備が民間との協働で進められています。  京都府では、京都市と共同で動物愛護センターを二年前に整備しています。特徴の一つに、京都方式と呼ばれる犬の譲渡促進の取り組みがあります。これは、ドッグトレーナーなど外部専門家の監修をもとに、職員としっかり連携をとりながら犬の行動修正、しつけを行った上で、譲渡を促進するものです。トレーニングによって譲渡対象に移行できる犬がふえるとともに、譲渡を希望する人が大幅に増加しているそうです。子犬、子猫の場合は収容している動物がいない場合もあり、順番待ちの状態になることもあるようで、ペットを飼育する場合は愛護センターからという意識が住民に定着し始めていると言えます。  また、ことし四月に新築オープンする神奈川県の動物愛護センターは、その整備費用十八億三千万円ですが、建設基金をつくり、民間から寄附金を集めています。その額は、ことし一月時点で建設費の一五%に当たる二億七千五百万円に上るそうです。  実は、本県でも、人と動物の共生する社会を目指した官民協働のモデル事業の取り組みが進められています。昨年七月には、尾道市で、地域の野良猫に不妊去勢手術を施しもとの場所に戻すというTNR活動が、県と動物愛護団体の協働により行われました。当日は、百三十五頭に手術を行い、私もその場に立ち会いました。  県の動物愛護センターには年間約九百頭の猫が引き取られていますが、その多くは動物愛護団体の方々に引き取っていただいているから殺処分を免れているのです。今の本県の殺処分ゼロは、動物愛護団体の存在、協力なしには成り立たない、危ういものであることをいま一度認識すべきであると思います。  県は、新年度予算案でPFIの導入検討を進めますが、PFIを導入するかどうかは金銭的な価値だけで判断するのではなく、ボランティア団体など、同じ目的のもとに愛護センターを拠点として一緒に活動していただける方々との協働という、目に見えない、金銭に換算できない価値までをも県がしっかり把握し、きちんと評価した上で整備することが何よりも重要と考えます。  そこで、人と動物が共生できる社会の実現に向けて、今後、より一層民間との協働を進める必要があると考えますが、新たな動物愛護センターにおいてどのように取り組もうとされているのか、知事にお伺いします。  以上で質問を終わりますが、広島県砂防災害史の中で、昭和四十二年に呉市を襲った豪雨災害の消防団員の談話の一節が目にとまりました。雨降れば水を含み、噴流とともに崩れ去る大きな危険をはらんでいる崖、宿命というにはおろか、人事を尽くすことを忘れてはいないだろうか。この言葉を肝に銘じ、これからも豊かで住みやすい、人や動物に優しい、きらりと光る広島県づくりに向けて、皆様とともに歩んでまいります。御清聴ありがとうございました。 (拍手) 4: ◯議長山木靖雄君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 5: ◯知事湯崎英彦君) まず、被災者の見守り活動の推進についての御質問でございます。  本県では、被災された方々に一日でも早く日常の生活を取り戻していただけるよう、地域支え合いセンターを設置し、見守り活動や相談支援により被災者の個々の状況に応じた支援計画を作成するとともに、住民同士の交流機会の提供によるコミュニティーづくりの支援を行っているところでございます。  被災された方々は、住宅再建の問題や心身の健康問題など、さまざまな課題を抱えておられ、こうした課題に対応していくためには、県、市町やNPOなどの関係機関が連携して、被災者の状況に応じたきめ細かい支援を行っていく必要があると考えております。  このため、県地域支え合いセンターでは、市町や関係機関との連携を促進するため、各市町地域支え合いセンターの活動状況と運営面での課題の共有や、福祉団体やNPOなどの関係機関が県域レベルで連携し、支援方法を検討する会議を開催するとともに、市町外へ避難した被災者を支援するため、関係市町によるネットワークを構築し、相互に連携して見守り活動を実施しているところでございます。  また、市町地域支え合いセンターでは、市町の健康管理部局や住宅担当部局、教育委員会、地域包括支援センターなどを構成員とした地域連携会議を開催し、住宅再建に係る問題と仮設住宅で暮らす孤立感による精神面の問題などを複合的に抱える被災者への対応について協議しているところでございます。  こうした中、今回の災害を教訓として、地域におきましても住民同士のつながりや支え合いの大切さが再認識され、熊野町の住民団体による防災活動等の団地の復興に向けた取り組みや、三原市の被災地区における住民主体のふれあい交流会の開催など、コミュニティーの再生に向けた取り組みが芽生え始めております。  引き続き、地域コミュニティーづくりに向けた支援を行うとともに、関係機関が連携した包括的な支援体制の構築を進めていくため、来年度、地域福祉支援計画を策定いたしまして、誰もが役割を持ち、自分らしく活躍し、お互いに支え合う地域共生社会の実現を目指してまいります。  次に、災害の教訓を伝承する取り組みについてでございます。  いつどこで起きるかわからない災害から県民の皆様に命を守っていただくため、地域における過去のさまざまな災害の体験と教訓を伝承していく取り組みは、極めて重要であると認識しております。  このため、特に、土砂災害につきましては、土砂災害啓発・伝承プロジェクトにより過去の土砂災害の記録を地域の砂防情報アーカイブサイトへ公開し、また、「災害の記憶つなぐ人の輪づくり」という土砂災害啓発・伝承支援制度を創設し、地域の災害伝承の取り組みを支援するなど、災害伝承に向けたさまざまな取り組みを積極的に推進しているところでございます。  今後は、河川の氾濫やため池の決壊などにつきましても、被災状況の写真などの情報を収集し、学校と連携した防災教育に活用するなど、災害の教訓を後世へ伝承する仕組みの充実に取り組んでまいります。  さらに、このたびの七月豪雨災害におきまして、県民の皆様の置かれていた状況はさまざまであったことから、避難行動に係る面接調査では、極めて多様で貴重な証言が得られているところでございます。  これらの証言につきましても伝承していくことが、県民の皆様それぞれが災害の危険が迫った場合にどのように行動すべきかを考えるよいきっかけになるのではないかと考えております。  このため、面接調査で得られた証言を専門家の助言も受けながら取りまとめ、ポータルサイト「はじめの一歩」などに掲載するほか、各地域における防災教室などで活用を図っていくこととしております。  今後とも、過去の災害から学ぶ取り組みの一層の充実強化を図り、過去の災害が単なる記録にとどまらず、行政、学校、地域、職場など、あらゆる場で活用され、防災対策の見直しや災害への備えを進めることにより、災害死ゼロを目指してまいります。  次に、全ての子供を社会全体で育み支える仕組みの充実についてでございます。  次世代を担う子供たちが生まれ育った環境に左右されることなく健やかに育ち、夢や希望にあふれ、自立した人間へと成長することは、県民の皆様全ての願いであり、我々が目指すべき姿でございます。  しかしながら、本県が昨年度実施いたしました実態調査の結果では、生活が困難になるほど子供たちが厳しい環境に置かれていることが改めて確認され、さらに、地域や家庭の教育力の低下や家族形態の多様化などを背景として、児童虐待相談件数の増加など、子供たちが生まれ育つ環境によってさまざまなリスクが顕在化しております。  また、今後も、幼児教育・保育の無償化による保育ニーズの急増を初めとする社会情勢の変化などによって、子供たちを取り巻く環境がさらに多様化、複雑化する可能性があることから、子供が抱えるさまざまなリスクを多面的な視点で継続的に把握し、子供の成長に携わる全ての関係者で見守り、支援することがより一層重要になってくるものと考えております。  このため、就学前の子供たちを漏れなく見守る仕組みとして、ひろしま版ネウボラの取り組みを着実に進めるとともに、来年度からは子供見守り支援サポート事業に府中町と協働で取り組むことによって、就学後も含めた、機を逸しない予防や支援につなげる仕組みの構築を目指してまいります。  こうした仕組みを構築することは行政の重要な役割でございますが、それによって見守る範囲も拡大し、よりきめ細かい対応なども必要になることが予想されることから、その全ての役割を行政が担うことは、人的リソースなども含めて、現実的には難しいのではないかと考えております。  このため、今後、見守りからリスクの高い段階への対応まで、切れ目のない一貫した体制づくりを検討していく中で、行政の取り組みに加え、例えば、地域の実情に応じた柔軟な対応が期待できる、住民や企業による主体的な取り組みのほか、行政と多様な主体との連携・協働など、適切な役割分担も含めて議論を深める必要がございます。  将来を担う子供たちのために、必要な支援が漏れることなく確実に届けられるよう、このような広島モデルの仕組みを構築し、社会全体で全ての子供たちが夢を育むことのできる広島県を実現してまいります。  次に、動物愛護センター整備事業についての御質問でございます。  本県では、動物愛護管理推進計画に基づき、動物愛護団体、県獣医師会、業界団体等と連携して取り組みを進めてきたところであり、平成二十八年からは動物愛護団体による殺処分対象となった犬や猫の全頭引き取りが開始され、現在、事実上の殺処分がない状況が続いております。  本県といたしましても、譲渡機能の強化と動物愛護教育のさらなる推進に向け、現在、二〇二二年度の開所を目指して動物愛護センターの移転整備を計画しており、その整備手法につきましては民間の資金や活力を活用するPFIの導入を検討しております。  PFIの導入により、事業者から積極的かつ良質な提案を受けることで、経費の節減、工期の短縮に加え、幅広い附帯事業の実施により、個人譲渡促進に向けた民間のノウハウの活用や、近隣企業と連携したイベント等による動物愛護の啓発強化が期待できるものと考えております。  また、PFIの導入いかんにかかわらず、新たに整備するセンターにおきましては、民間との協働を一層進めていきたいと考えており、例えば、民間との動物愛護イベントの共同開催や、動物愛護団体が主催する譲渡会への協力、研修室など施設の民間団体への開放などにつきまして、関係者から意見を聴取し、今後、検討を進めてまいります。  さらに、センターの施設を活用した事業だけでなく、民間団体の譲渡会情報等のホームページへの掲載や、センターが県内各地で実施する動物愛護教室や飼育講習会への民間団体等の参画、譲渡拡大に向けたペットショップ等業界団体との連携などにつきましても検討してまいります。  本県といたしましては、センターの移転整備を契機に、行政と民間の知恵を持ち寄って相乗効果を高めることにより、さらなる愛護教育の促進と譲渡の拡大を図るとともに、広島県から始める新しい動物愛護・福祉モデルを構築し、人と動物との調和のとれた共生社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 6: ◯議長山木靖雄君) 都市建築技術審議官友道康仁君。         【都市建築技術審議官友道康仁君登壇】 7: ◯都市建築技術審議官友道康仁君) 坂町の災害公営住宅の整備支援について、複数部局にわたる御質問でございますが、私が代表してお答えいたします。  今回の災害により甚大な被害を受けた市町におきましては、県といたしまして公営住宅やみなし仮設住宅等の提供にあわせ応急仮設住宅を建設するなど、市町と連携し避難用住宅の整備を行ってまいりました。  応急仮設住宅の入居期限は原則二年となっており、中でも被害が大きかった坂町は、恒久的住宅の確保に向け、災害公営住宅の整備を行うことを決定したところでございます。  このたび、坂町から県に対し、災害公営住宅の整備に係る委託の要請があり、町を支援する観点からこれを受託し、今年度中に調査設計業務に着手することとしております。  具体的な整備内容につきましては、調査設計業務の中で今後検討することになりますが、入居が想定される被災者の多くが高齢者であることなどから、コミュニティーの形成促進の観点も踏まえつつ、敷地の制約等も考慮し、坂町としっかりと協議して決定してまいりたいと考えております。  あわせて、住民同士の見守りや交流サロンにおける百歳体操の実施に向けた支援など、被災者の生活再建に向けた取り組みとあわせ、良好な生活環境が形成されるよう、坂町の災害公営住宅の整備を支援してまいります。 8: ◯議長山木靖雄君) 土木建築局長三上幸三君。         【土木建築局長三上幸三君登壇】 9: ◯土木建築局長三上幸三君) 砂防・治山施設の整備推進についてでございます。この質問は、複数部局にまたがる質問でございます。私のほうで代表して御答弁申し上げます。  平成三十年七月豪雨災害に対応して、国、県、市町が緊急的に実施する砂防・治山事業につきまして、その事業計画等を取りまとめ、平成三十年七月豪雨災害砂防・治山施設整備計画として公表し、来年度末までの完成を目指して事業を進めているところでございます。  また、被災地域の安全性を一層高めるため、激甚災害対策特別緊急事業を活用するなど、有利な財源で短期間で集中的に砂防ダムの整備などを実施してまいります。  さらに、社会資本未来プラン等において計画的に防災・減災対策を推進することとしており、国の「防災・減災、国土強靭化のための三か年緊急対策」を積極的に活用するなど、県土の強靭化に向け、予防対策の加速化を図ることとしております。  一方、市町が実施主体となる小規模な崖崩れ対策につきましては、再度災害防止として災害関連地域防災がけ崩れ対策事業を、今年度の災害において、全国最多となる県内六十八カ所で実施しているところでございます。  さらに、市町への県費補助金を、今年度の約五億円から来年度は約九億円に増額した予算を計上し、県として市町の実施する予防対策を強力に支援することとしております。  今後も、被災地の一日も早い復旧・復興に最優先で取り組むとともに、県民の生命を守るため、国、県、市町で連携して、土砂災害防止対策に積極的に取り組んでまいります。  続きまして、河川の洪水対策の充実と強化に向けた取り組みについてお答えいたします。  被災した方々に一日も早い日常の回復を図っていただくためにも、災害関連事業として緊急的かつ計画的に実施する河川事業を取りまとめ公表することは重要であると認識しております。  これまでも、災害関連事業として採択された沼田川の河川激甚災害対策特別緊急事業や三篠川の災害復旧助成事業について、その実施箇所や実施期間などを公表してきたところであり、引き続き、災害関連事業等が採択された場合は、速やかに公表してまいります。  今後、こうした県が実施する事業に加え、国や市町が実施する災害関連事業等につきましても、実施箇所などを取りまとめて公表してまいります。
     さらに、中長期的な視点に立った計画的な事前防災を進めていくため、実施方針の検討に必要な費用を来年度当初予算に計上しており、河川事業においては、現況流下能力の詳細な把握、目標となる流量や整備区間の設定などの検討を行うこととしております。  その検討結果も踏まえ、来年度中に実施方針を取りまとめ、その後、市町の意見を伺いながら新たな社会資本未来プラン及び事業別整備計画の策定に取り組んでまいります。  引き続き、被災された住民の皆様の一日も早い日常の回復が図られるよう、全力で取り組むとともに、県土の強靭化に向けた取り組みを計画的に実施してまいります。 10: ◯議長山木靖雄君) 商工労働局長佐伯安史君。         【商工労働局長佐伯安史君登壇】 11: ◯商工労働局長佐伯安史君) 私からは、二点についてお答えいたします。  まず、観光プロモーションについてでございます。  本県の観光振興におきましては、地域の歴史や文化、伝統工芸品、食、自然といった県内の豊富で多彩な観光資源をブラッシュアップするとともに、効果的に情報発信することが重要であると考えております。  このため、市町や民間事業者等と連携し、神楽鑑賞や筆づくり体験、酒蔵めぐりといった、各地域が有する歴史や文化、伝統工芸品、食などの観光資源を活用した体験型観光プロダクトの開発に取り組んでいるところでございます。  一方、こうして開発した体験型観光プロダクトや、地域ならではの観光資源がまだ十分に認知されていないことから、さらなる情報発信の強化が必要であると考えております。  こうしたことから、引き続き、観光プロダクト開発に取り組むとともに、開発したプロダクト情報と地域の多彩な魅力を特色あるストーリーで結びつけ、観光客に行ってみたいと思っていただけるような映像コンテンツやインターネット等を活用した情報発信を行うことで、より広域的な周遊促進につなげ、観光消費の効果を県内全域に波及させていきたいと考えております。  次に、せとうちDMOの取り組みについてでございます。  宿泊客数増加による観光消費額増大を図るためには、観光客の多様なニーズに対応する魅力的な宿泊施設をふやすことが重要であると認識しております。  せとうちDMOにおいては、観光プロダクト開発のテーマの一つとして、瀬戸内の風情が体感できる多彩な宿の充実に取り組んでおります。  具体的には、泊まりたくなるような宿の開発に向けまして、せとうちDMOでは、これまで、愛媛県の内子町や徳島県の三好市などで、古民家を活用した宿泊事業を行う事業者に対して、事業計画の策定や資金支援などに取り組んでまいりました。  また、せとうちDMOのこうした取り組みにより、県内では二〇二一年に尾道市瀬戸田町において古民家を活用した宿泊施設が開業する見込みとなるなど、地域の特色を生かした古民家活用が進められているところでございます。  せとうちDMOが有する事業計画の策定支援や経営支援、資金支援等の機能は古民家を活用した魅力的な宿泊施設をふやしていくために有効であることから、県といたしましては、事業者とせとうちDMOのマッチングを図り、速やかに事業計画策定支援等が受けられるよう、引き続き、せとうちDMOと連携して取り組んでまいります。 12: ◯議長山木靖雄君) この際、暫時休憩いたします。午後の会議は一時から開きます。         午前十一時二十二分休憩              ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~         午後一時一分開議 13: ◯副議長(宮 政利君) 出席議員五十四名であります。休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続いて質問を行います。桑木良典君。         【桑木良典君登壇】 14: ◯桑木良典君 皆様、こんにちは。広島県議会民主県政会の桑木良典でございます。今次定例会におきまして、質問の機会をいただき、山木議長、宮副議長を初め、先輩、同僚議員の皆様に感謝を申し上げます。  これまでも多くの議員から質問がございましたが、昨年七月の豪雨災害により、本県は甚大な被害を受けました。改めて、被災された方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。  当時を思い起こしますと、雨が降り続いた夜が明けるや否や、県内各地で土砂崩れや河川の氾濫はもとより、広域にわたり道路や線路が寸断され、送水管の破損や沼田川本郷取水場が浸水した影響で断水するなどし、住民生活はたちまち大混乱に陥りました。あれから七カ月が経過し、現在、関係機関が連携し、全力を挙げて復旧・復興に取り組んでいただいておりますが、被災者の生活再建、被災企業の支援、インフラなどの復旧にはこの先も多くの時間を要することが見込まれています。被災された方々はもちろん、多くの県民が今後、災害関連の事業がどのように進められるのか、強い関心を持って見守っておられます。県におかれましては、引き続き、その先頭に立って、このたびの災害に関する数々の教訓を踏まえ、あらゆる自然災害への備えをしっかりと推進していただくことを冒頭お願いしておきます。  本日は、災害への取り組みのほかに、地域の方々からお聞きしている課題や関心事について質問を行いますので、知事を初め、執行部の皆様には、県の前向きな姿勢が伝わるような答弁をお願いし、質問は一問一答方式で行いますので、質問席に移らせていただきます。(質問用演壇に移動)  初めに、七月豪雨災害の復旧・復興の状況についてお伺いします。  これまで、八月の臨時会、九月、十二月の定例会において、総額約二千二百十億円の災害対策関連予算が議決されました。公共事業などは今年度に実施できず繰り越され、繰越明許費が膨大な額になっております。  そこでまず、災害対策に関連する二月補正予算の全体について総務局長にお伺いいたします。 15: ◯副議長(宮 政利君) 総務局長竹中正博君。         【総務局長竹中正博君登壇】 16: ◯総務局長竹中正博君) 二月補正予算案のうち、平成三十年七月豪雨災害に係るものにつきましては、まずは、国の補正予算を活用し、来年度当初予算案と一体的に、創造的復興による新たな広島県づくりに向けた取り組みを実施することとし、五十九億二千五百万円を追加計上しております。  一方で、事業の執行状況や国との事業内容の調整などによる事業費の確定に伴いまして、四百一億五千二百万円の減額を行うこととしております。  また、工事の発注に当たりまして、年度内での適正な工期の確保が困難などの理由から、やむを得ず、翌年度に繰り越して実施する事業につきまして、六百八十三億七千八百万円の繰越明許費を計上しているところでございます。  その結果、二月補正後の平成三十年七月豪雨災害に係る予算額は一千八百六十八億五百万円となり、そのうち繰越明許費は一千二百六十六億四千四百万円となっております。 17: ◯副議長(宮 政利君) 桑木良典君。 18: ◯桑木良典君 次に、これまで議決した災害対策関連予算における公共事業の執行見込みと繰越明許費を含んだ今後の見通しについて土木建築局長にお伺いいたします。 19: ◯副議長(宮 政利君) 土木建築局長三上幸三君。         【土木建築局長三上幸三君登壇】 20: ◯土木建築局長三上幸三君) 平成三十年七月豪雨災害に係る公共事業費につきましては、平成三十年度の二月補正後の予算額は一千二百四十二億七千六百万円となりますが、年度内に全ての事業の執行が困難であることから、繰越明許費は九百二十八億七千九百万円となっております。  このうち、災害復旧事業につきましては、優先順位を踏まえながら、順次、工事に着手しており、三カ年での復旧完了を目指してまいります。  また、改良復旧事業につきましては、主要地方道呉環状線の災害関連事業や沼田川の河川激甚災害対策特別緊急事業などが国に採択され、事業に着手しているところであり、五年以内での事業完了を目指してまいります。  さらに、緊急的に実施する砂防・治山事業につきましては、国の採択を受け、砂防・治山施設整備計画をお示しし、来年度末までの完成を目指して事業を進めているところでございます。  引き続き、可能な限り速やかに工事に着手し、早期の事業効果発現に向けて取り組んでまいります。 21: ◯副議長(宮 政利君) 桑木良典君。 22: ◯桑木良典君 予算額の御説明をいただきました。局長からもありましたように、事業量が膨大なだけに執行状況が厳しいことは理解できますが、これまで質問の中で指摘があったとおり、復旧に従事してくださっている建設事業者の人手不足は深刻でございます。ほかにも事業者の方から伺った話の中で、材料、特に二次製品である大型ブロックなどの資材調達にも時間がかかるといった課題もあるとのことでございました。現場で起きている課題について、事業者の方々とよく情報交換をしながら、円滑に事業が執行できますように、対策を引き続きお願いいたします。  次に、事業の進捗状況の地域住民への情報提供についてお伺いいたします。  一月二十四日に私の地元の三原市本郷町において、県と三原市の合同で、被災した地域の住民の方々に今後の復旧の状況について説明会が実施されました。説明会では、住民の方から、当面の対策への不安や、実質四年間で工事が執行できるのかといった質問や要望が多数出されたとお聞きしています。  三原市に限らず被災地域において、厳しい現状と向き合っておられる住民の方々の不安を解消し、希望を持って生活再建をしていくためには、今後とも、避難に備えた取り組みや呼びかけを市町と連携しながら進めるべきと考えます。  そこで、災害の大小にかかわらず、被災地域においては、予定されている事業の見通しについて地域住民と情報を共有していくなど、よりきめ細かに対応していくべきと考えますが、地域住民への事業の進捗状況の情報提供について今後どのように取り組んでいかれるのか、土木建築局長にお伺いいたします。 23: ◯副議長(宮 政利君) 土木建築局長三上幸三君。 24: ◯土木建築局長三上幸三君) 七月豪雨災害からの復旧・復興を進めるための今後の基本的な考え方や取り組みごとのロードマップを、復旧・復興プランとして昨年九月に公表いたしました。  このプランに掲げた取り組みにつきましては、ホームページの「がんばろう広島」に、今後の取り組み状況も含め、災害復旧事業の進捗状況等として情報提供を行っているところでございます。  特に甚大で広範囲にわたる浸水被害が発生し、災害関連事業等に取り組むこととしている沼田川におきましては、三原市と連携して市内流域全体に係る地元説明会を開催したところであり、引き続き、地域の要望も踏まえて地域を分割して、より詳細な事業の説明を行う予定としております。  また、砂防事業におきましては、国の採択を受け緊急的に実施する事業について砂防・治山施設整備計画をお示ししたところであり、市町と連携し、準備の整ったところから順次、地元説明会を開催しており、現在までに、県が施行する百十一カ所のうち約八十カ所において実施したところでございます。  引き続き、被災した方々の今後の生活再建を見通していく上での一助としていただくため、復旧・復興の取り組み状況について、市町と連携して丁寧な情報提供に努めてまいります。 25: ◯副議長(宮 政利君) 桑木良典君。 26: ◯桑木良典君 ただいま、三原市の沼田川については、地域を細かく分けていろいろな説明をしてくださるという答弁をいただきましたが、局長もよく承知しておられるように、私の地域の住民の方から情報提供を求める声を数多くお聞きしております。ある程度まとまってから機会を持とうとされるというのもわかりますが、説明をする時期を示すだけでも随分、関係地域の方々の気持ちも違ってくるのではないでしょうか。市町とこれからもよく調整の上、適切な情報提供に引き続いて努めていただくようにお願いいたします。  次に、避難情報の県民の受けとめ方と対応策についてお伺いします。  七月豪雨の対応を踏まえて、本県では、避難情報の発令のあり方の改善に取り組んでおられます。県内の市町においても、気象情報を迅速につかみ、避難情報をいち早く住民に伝達する体制の整備を改善しているところですが、幾つかの課題があると認識しております。  現に昨年の台風の到来時には、災害対策基本法第六十条に基づき、三原市内全域の約四万三千六百世帯に避難勧告が市長の判断のもと、発令されました。避難勧告は、予想される災害に対応した指定緊急避難場所へ速やかに避難を促すものであり、時間の猶予を持って安全に避難することにつながり、災害から身を守ることになります。早目早目の避難勧告には理解できるのですが、対象が市内全域の約九万四千人となると、実際に勧告を受けた住民の皆さんからは、市民全員が避難を始めたら渋滞などで混乱が生じ、さらに全員の避難所の受け入れも無理だろうから結局どう判断していいかわからないとの声を聞きます。  情報を伝える行政側の要求が大きすぎて、かえってその情報を受け取る住民が困惑して避難行動をとろうという判断につながらなかった事例と思われます。  そこで、こうした県民の声に対し、県や市町は県民が災害を我が事として捉え、確実な避難行動につながるよう、避難情報をどのように工夫して伝えるのか、危機管理監へお伺いします。 27: ◯副議長(宮 政利君) 危機管理監土井 司君。         【危機管理監土井 司君登壇】 28: ◯危機管理監(土井 司君) 県民の皆様に適切に避難行動をとっていただくためには、市町長が発令する避難情報が避難の動機づけとなるよう、災害発生リスクに応じた具体的な行動を示し、災害を我が事として捉えていただくことが重要であると考えております。  このため、県では、昨年の十二月に避難勧告等判断・伝達ガイドラインを改正し、市町による避難情報の発令に当たっては、立ち退き避難や垂直避難などの住民がとるべき行動を具体的に示すこと、発令対象区域を絞り込むこと、伝達内容を簡潔でわかりやすい表現とすることなどを改めて明確にいたしました。  その上で、本年一月から全市町を訪問し、避難勧告等判断・伝達マニュアルを見直すとともに、避難情報の発令に係る体制や手順、災害種別ごとの発令対象区域などの確認を行い、課題を洗い出した上で、市町と一緒になって、その改善に向けて取り組んでおります。  一方で、現在、国におきまして、住民が避難情報の意味を直感的に理解しやすいものとなるよう、検討がされているところでございます。  県といたしましては、こうした国の動きや、現在行っております避難行動に関する研究の状況を踏まえ、県民の皆様の確実な避難行動につながるよう、避難情報の伝え方について、さらなる改善に努めることとしております。 29: ◯副議長(宮 政利君) 桑木良典君。 30: ◯桑木良典君 市町を訪問していただきまして、マニュアルの見直し等を現在行っていただいているということなのですけれども、質問でも申し上げたのですが、避難勧告を市内全域などといったように漠然とした広い範囲で発令した場合、自治体側も避難を住民の自主性に任せるのか、何らかの形で強く避難を促すのか、住民もどう判断したらいいのか極めてわかりにくい状況が生まれる課題があると思っています。  先ほども答弁いただきましたけれども、もっと具体的にそういった内容をきめ細かにしながら地域名を挙げるなどしなければ、かえって危機感が伝わらず、避難行動につながらないのではないかと考えますし、例えば学校区単位で呼びかけができるような情報発信が必要で、これが地域住民にもわかりやすいのではないかと思っております。引き続き、市町と協議・検討の上、県民の避難行動につながる情報発信の工夫改善をお願いして、次の質問に移ります。  質問の第二は、広島空港の経営改革について、二点お伺いいたします。  広島空港の経営改革を官民で進めるため広島県空港振興協議会に設置した空港経営改革推進委員会から、空港経営改革について、昨年十月に提言されたところです。  この提言の柱は大きく三つあります。一つは、将来目標を、年間の旅客者数を現在の約二百九十七万人から五百万人へ、貨物取扱量を一・八万トンから二万トン以上にする提言がされております。  もう一つは、二〇二一年四月からの空港経営改革のため、空港運営権者を決定していくわけですが、前もって県としての要望を出し、国が設ける選定基準に県の意向が具体的に反映されることを目的に提言されています。具体的には選定基準を、広島空港の利便性の向上を図る積極的な提案を空港運営権者から引き出すために、航空ネットワークの拡充、空港アクセスの改善、旅行需要の創出、空港施設の利便性向上といった項目がより重視された選定基準となるように提言されています。また、運営権対価についても、空港運営権者の資源が空港のポテンシャル向上となるよう、配点がいたずらに高まることがないように提言されております。  この提言の最後の三つ目として、長年、広島空港の最大の課題であった空港アクセスについて、利便性、採算性等の総合的観点から、空港運営権者の事業提案に当たっては、軌道系アクセスは前提とせず、広域のネットワーク展開に優位性のある道路系アクセスを中心としていくことが妥当であるとされています。  そこで、空港経営改革について、将来目標、優先交渉権者の選定基準及び空港アクセスに関する提言を県としてどのように受けとめているのか、また、提言内容が着実に選定基準に反映されるよう、具体的に国へどのように働きかけていくのか、あわせて知事にお伺いいたします。 31: ◯副議長(宮 政利君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 32: ◯知事湯崎英彦君) 広島空港の経営改革につきまして、昨年十月に官民で構成される空港経営改革推進委員会からいただいた提言は、広島空港の持つポテンシャルをさらに生かすことによって、国内外からの交流人口の拡大と、活力に満ちた地域社会の実現がもたらされることから、空港運営権者を含む関係者の積極的な取り組みを促していく必要があるという視点で取りまとめられており、本県といたしましては、この結論を真摯に受けとめ、尊重し、具体的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。  まず、空港利用者数五百万人以上という将来目標につきましては、インバウンドの拡大を軸に、実現を目指すべき意欲的な目標と受けとめており、本県といたしましては、引き続き、空港の利用促進を図るため、路線誘致や増便に取り組んでまいります。  また、空港アクセスにつきましては、軌道系アクセスを前提とせず、道路系アクセスを中心としていくことが妥当であるとされており、本県といたしましては、空港アクセスの速達性の向上、リダンダンシーの確保の観点から、道路系アクセスの強化等に取り組んでまいります。  優先交渉権者の選定基準につきましては、国における実施方針や募集要項の策定に当たり、広島空港の利便性向上を図る積極的な提案を引き出すよう、従来から施策提案等の機会に国へ働きかけておりまして、昨年十一月には推進委員会の提言を踏まえた提案書を提出したところでございます。  今後は、年度内に予定されております募集要項の公表に向けて、引き続き、国と調整を図りますとともに、空港経営改革がさらなる地域活性化の契機となるよう、平成三十三年の経営改革導入を待つことなく、航空需要の喚起や空港アクセスの改善等に主導的に取り組んでまいりたいと考えております。 33: ◯副議長(宮 政利君) 桑木良典君。 34: ◯桑木良典君 次に、道路アクセス強化に伴う空港周辺の環境整備についてお伺いします。  提言では、空港アクセスに関して具体的に試算されています。軌道系アクセスについては、事業費九千六百億円をかけて表定速度八十キロメートルの高速新交通を整備しても、広島駅からの所要時間は三十四分かかると算定しています。それに対して、平成三十二年度に広島高速五号線が完成すれば、所要時間は四十分となり、速達性、定時性は向上するとされています。なお、不安な事故や渋滞リスクは、一般ルートの国道二号東広島・安芸バイパスの開通により、交通の分散を図っていくことが現実的であるとしています。  道路系のアクセスを強化していくことになれば、二〇五〇年に旅客者数を今よりも二百万人増を目指すと、単純に割っても年間五、六万人が増加するわけです。今でも空港利用者の約三五%の人が乗用車を手段としている状況であり、空港に近い国営と県営の駐車場の稼働率は現在約六〇%と聞いており、将来的に十分足りているのか、懸念があります。さらに、福岡空港のように空港運営権者が複合商業施設の提案をされた場合は、乗用車での利用増が見込まれますので、駐車場一つとってみても、道路系アクセス強化に伴う空港周辺の環境整備をどのようにしていくのかは県の責務になるのではないでしょうか。  そこで、これから空港運営権者の公募が始まるわけですが、よいアイデアを持った民間業者により多く応募していただくためには、民間のみに任せるのではなく役割分担を明確にし、民間の提案と一体となって、県も必要な投資を行う姿勢を前もってアピールすることが必要だと考えますが、道路アクセス強化に伴う空港周辺の環境整備にどのように取り組んでいくのか、土木建築局長にお伺いいたします。 35: ◯副議長(宮 政利君) 土木建築局長三上幸三君。         【土木建築局長三上幸三君登壇】 36: ◯土木建築局長三上幸三君) 平成三十年十月に空港経営改革推進委員会からいただいた提言におきましては、将来目標を五百万人以上と見込み、広島高速五号線や東広島・安芸バイパスなどの道路ネットワーク強化に取り組むべきものとされております。  県といたしましては、空港エリア全体の利便性向上につながるよう、リムジンバスなどの公共交通機関の利用促進や道路ネットワーク強化の着実な推進に、引き続き、積極的に取り組んでまいります。  また、今後、国が進める空港経営改革の手続が本格化し、空港運営に係る優先交渉権者の選定プロセスを経て、平成三十二年七月ごろに決定される空港運営権者からの、駐車場需要への対応も含む空港及び周辺地域の活性化を図る提案が見込まれるところであり、空港運営権者や地元市などと連携し、空港周辺の環境整備に取り組んでまいります。 37: ◯副議長(宮 政利君) 桑木良典君。 38: ◯桑木良典君 質問の第三は、中山間地域の中小企業の事業継承等の支援についてお伺いします。
     近年、団塊の世代の大量退職と少子化に伴い、人材不足の課題がより顕在化しています。中でも中山間地域は人口減少と少子化の影響を大きく受け、事業の継承が難しくなっている事業所があるとお聞きしています。  経済産業省によると二〇二五年までに経営者が七十歳を超える中小企業は、個人経営者を含み約二百四十五万社に上り、その半数の百二十七万社は後継者がいないか、子供がいても後を継ぐ意思がないと言われています。  私の選挙区を例に挙げてみても、世羅町において商工会が調査中ではありますが、総会員数六百十五のうち、約半数の二百九十八が代表者の年齢が六十歳以上の方で、ヒアリングした百八十七事業所のうち、約八割が代表者の年齢六十五歳以上で、約四割の七十六者が廃業を考えていることがわかりました。全国の小規模事業者の売上高を世羅町の小規模事業者数六百八十一者で換算すると二百五十五億一千五百万円となり、十年後、世羅町においても六十四億円の売上高が消滅するという試算もされています。  国は、今年度から十年間、相続税、贈与税の納税猶予を株式の全額を対象とする等、税制以外の政策も組み合わせることで、今後、集中的に事業継承を後押しする考えです。しかしながら、目に見えて効果があらわれておらず、後継者難に悩む中小企業が百万社を超えている現実からすれば焼け石に水であり、さらに中山間地域では深刻です。雇用の場がふえなければ生産年齢人口はふえず、過疎化にますます拍車がかかることが懸念されます。  県では二〇一七年に広島県中小企業・小規模企業振興条例を策定し、振興策を行っておりますが、中山間地域が元気にならないと広島県の発展は望めません。  そこで、中山間地域の中小企業の振興策と人材確保、事業継承の支援についてどのように取り組んでおり、その成果はどのようになっているのか、知事にお伺いいたします。 39: ◯副議長(宮 政利君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 40: ◯知事湯崎英彦君) 地域経済の安定や雇用機会の創出などにおきまして、事業者数及び従業員数の大宗を占める中小企業は、欠くことのできない存在であると認識しております。  一方で、人口減少に伴う労働力不足や国内需要の低迷、経済のグローバル化など、中小企業を取り巻く社会経済情勢は厳しさを増しており、特に、中山間地域の中小企業におきましては、人口減少への対応や高齢化に伴う後継者不足が喫緊の課題となっているため、労働力確保や生産性向上による経営基盤の強化、事業承継などへの支援が重要であると考えております。  このため、本県では、魅力ある雇用の場の創出のため、立地助成制度におきましては、中山間地域に設備投資を行う企業への優遇措置やサテライトオフィスなどの誘致促進、身近な相談窓口である地域中小企業支援センターによる経営革新・新事業展開の支援、市町と連携して、中小企業等と第二新卒者や転職希望者との合同企業説明会の開催によるマッチング機会の提供などの取り組みによりまして、中山間地域への企業の進出や経営革新計画の策定等による資金調達により、設備導入が可能となるなどの成果もあらわれてきているところでございます。  また、事業承継支援につきましては、国の事業承継集中支援を受けて、平成二十九年度に県内の行政機関、中小企業支援機関、金融機関などによる広島県事業承継ネットワークを構築し、各機関におきまして、中山間地域を含む県内の事業者に対する診断を実施し、事業承継に課題を抱える企業に対しましては、中小企業診断士などの専門家を派遣して、事業承継計画策定などによる円滑な事業承継の推進に努めているところでございます。  さらに、経営者の意識を喚起するためのセミナー開催やモデルとなる取り組み事例の情報発信、商工会、商工会議所と連携した支援担当者のスキルアップや経営改善支援などにも取り組んでいるところであります。  こうした中、安芸高田市の地域おこし協力隊員が地元の廃業予定の食品スーパーを引き継いだ事例があることから、こうした事例をモデルといたしまして、UIJターン者や地域おこし協力隊員などと後継者不在の事業者を結びつける仕組みづくりに、市町や支援機関と連携して取り組みますとともに、伴走型による事業者支援を強化してまいります。  今後とも、地元企業等関係者のニーズをお伺いしながら、市町や支援機関と連携して、中山間地域の活性化に不可欠な中小企業の持続的な発展に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 41: ◯副議長(宮 政利君) 桑木良典君。 42: ◯桑木良典君 さまざまな施策を展開していただいているということを御答弁いただきました。関係者とお話ししておりますと、さまざまな取り組みの情報がまだ十分伝わっていないところがあるのではないかと、知事の御答弁をお聞きしながら感じたのですが、中山間地域の中小企業の振興策と事業継承には、先ほど答弁をいただきました、現状の把握と将来予測など、身近に専門知識を持ったアドバイザーと相談できるような仕組みがうまく機能していくことが重要なのではないかと感じております。近隣の商工会議所や商工会の会員が情報交換を行う場や、気軽に専門家に相談できる窓口がもっとこれから機能していけば、事業継承と創業希望者をつなぐことのできるケースもあるのではないかと思っております。引き続きの支援の取り組みをお願いして、次の質問に移ります。  質問の第四は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けた観光振興についてお伺いします。  日本は現在、空前のインバウンド拡大が続いており、二〇一八年には三千万人の大台を突破しました。  二〇一二年ロンドン・オリンピックでの累計観戦者は八百万人以上でしたが、今回は、人口が最も密集しているアジアでの開催のため、世界各地、日本全国から一千万人を超える観戦者が来ることが予想されています。また、こうした状況は東京だけの現象ではありません。この観戦者の半分以上が大阪、京都へも旅行に行き、二割以上が各地方へも足を延ばすことになるとも予想されています。しかし、地方が外国人の関心を集めることができなかった場合、結局、観光客は東京や京都といった知名度の高い場所を訪れるだけになってしまうことも懸念されます。  広島県に来訪しても、人気の原爆ドームや宮島の観光にとどまってしまう従来の課題があります。ぜひとも、本県の人気の高い観光地を訪れた外国人に、中山間地域を初め、県内各地に足を延ばしていただき、約五十年ぶりの国際的なビッグイベントの効果を本県にも十分に波及させたいものであります。  国は、二〇二〇年に四千万人以上の旅行者を、さらに二〇三〇年に六千万人の旅行者を呼び込む目標を立てております。目標のとおり増加するのであれば、日本は依然として大幅な宿泊施設の不足に直面することは避けられず、中山間地域での民泊や農泊を活用していくことも重要であると考えます。  そこで、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを契機として、外国人旅行者を中山間地域へ取り込むために、周遊コースの強化や民泊の取り組み等、県としてどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。 43: ◯副議長(宮 政利君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 44: ◯知事湯崎英彦君) 近年、外国人観光客が急増する中、日本ならではの歴史や文化、自然などを体験するという旅行ニーズが高まっているところでありまして、中山間地域は、そうした魅力的な観光資源を多く有して、外国人観光客の旅行先として選ばれるにふさわしい価値を持つ地域であると考えております。  二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けましては、中山間地域の有する歴史や文化、自然、食といった豊富で多彩な観光資源のブラッシュアップと、これらを各国の特性に応じて戦略的に情報発信するとともに、満足度の向上に向けた受け入れ環境整備を強化することによりまして、さらに多くの外国人観光客を中山間地域へ誘客することが重要であると認識しております。  このため、観光資源のブラッシュアップにつきましては、市町や民間事業者などと連携いたしまして、県北エリアの神楽や自然を活用した周遊ツアーの造成支援や、農園での果物狩りやアウトドア、文化体験など体験型の観光プログラムの開発に取り組んでおります。  さらに、新たな観光資源の掘り起こしや、県東部エリアの風光明媚な景観や著名な旧跡を活用した現代アートイベントなども行うこととしているところでございます。  また、情報発信につきましては、中山間地域の魅力を外国人観光客に着実に届けるため、欧米に向けましては口コミサイト、アジアに向けましては情報発信力の高いいわゆるインフルエンサーなどを活用いたしまして、観光資源の魅力とあわせ、アクセス情報などを含めた周遊ルートの情報発信に取り組んでおります。  さらに、個人旅行客に対して、各市場の主要なオンライン旅行会社を活用したプロモーションの強化も図ることとしております。  また、受け入れ環境整備といたしましては、宿泊施設の不足に対して、住宅宿泊事業法に基づく民泊事業に関する説明会を開催するなど、中山間地域等の伝統的な日本家屋を活用した魅力的な宿泊施設を増加させるための取り組みを進めているところでございます。  今後とも、こうした取り組みを一体的に推進することにより、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを契機に、増加が見込まれる外国人観光客を確実に本県へ誘客するとともに、豊かな自然や伝統文化が楽しめるなど、ありのままの日本を体験できる中山間地域への周遊を促進することで、観光地ひろしまのブランド力をさらに高めてまいりたいと考えております。 45: ◯副議長(宮 政利君) 桑木良典君。 46: ◯桑木良典君 「指標で見る広島県」の数字を以前見たのですが、日本を訪れている外国人旅行者で広島を訪れる方の割合はまだ三%という数字がありました。ぜひとも、先ほど御答弁いただきましたさまざまな取り組みを進めていただいて、数字を伸ばしていただきたいと思います。よろしくお願いします。  質問の第五は、全国都市緑化ひろしまフェアの取り組みについてお伺いします。  全国都市緑化ひろしまフェアが、二十三年ぶりに二〇二〇年の春から秋にかけて開催されます。開催の規模も前回の広島市での開催から、今回は二十三市町と県内全域に拡大して開催されます。こうした全県でのイベントは二〇一七年に開催したさとやま未来博以来となりますので、全県での盛り上がりに大変期待しているところでございます。  また、基本理念にも、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、世界中から広島へ多くの人々が訪れることを念頭に、花や緑の大切さと平和のとうとさを世界中の人々と分かち合うなど、県内全域で回遊と交流を生み出すことを掲げております。先ほども質問しましたが、東京オリンピック・パラリンピックを契機とした中山間地域への呼び込みにも、このイベントが果たす役割は大きいものと考えています。  そこで、全国都市緑化ひろしまフェアの開催に当たって、二〇一七年に開催したさとやま未来博で得た知見等を発揮できる体制づくりや観光振興との連携など、どのように取り組んでいくのか、都市建築技術審議官へお伺いします。 47: ◯副議長(宮 政利君) 都市建築技術審議官友道康仁君。         【都市建築技術審議官友道康仁君登壇】 48: ◯都市建築技術審議官友道康仁君) 全国都市緑化ひろしまフェアにつきましては、平成三十二年の県内一円での開催を目指して、県と県内二十三市町が中心となって、先般、実行委員会を立ち上げて基本計画を策定したところであり、現在、実施計画を策定するなどの準備を進めているところでございます。  このひろしまフェアは、地域づくりの担い手の育成や地域経済の活性化を目的の一つとしており、実施計画の策定においては、「ひろしま さとやま未来博二〇一七」で得られた知見や人材の活用を含め、実行委員会事務局や県内二十三市町と県内全域での回遊と交流を生み出すような体制づくりの検討を進めてまいります。  また、平成三十二年は東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催年であり、増加が見込まれる外国人観光客等を含めて本県へ誘客することにより、地域経済の活性化が期待できると考えております。  このため、県内二十三市町や関係団体と連携しながら、開催一年前の節目などでのプレイベントの実施、大型観光キャンペーンとの連携、旅行会社等によるツアー企画の働きかけなどの効果的な観客誘致や広報宣伝を実施し、多くの方に広島に訪れていただき、ひろしまフェアを盛り上げてまいりたいと考えております。  さらに、今回のひろしまフェアの開催が、平成三十年七月豪雨災害からの復旧・復興を後押しし、県民に勇気と希望を実感していただけるものとなるように取り組んでまいります。 49: ◯副議長(宮 政利君) 桑木良典君。 50: ◯桑木良典君 ぜひとも万全の準備をお願いしたいと思います。  さとやま未来博の際にも要望したのですけれども、訪れた方々に各地で気持ちよく楽しんでいただくために、このフェアを機に案内板の設置や公園など施設、トイレの改修などにも手を入れていただいて、よりよい環境をつくっていただきたいということもあわせて要望しておきます。よろしくお願いいたします。  質問の第六は、農林水産業の担い手確保と育成について、二点お伺いします。  県では農林水産業アクションプログラムの第二期を策定され、アスパラ、キャベツなどの園芸作物を取り入れた専業農家対策に力を入れております。農業の成長産業化を推進することも重要ですが、大規模農業者や参入企業だけで本県の農業が成り立っていくわけではありません。広島県の二〇一五年の総農家数は約五万六千七百戸であり、そのうち専業農家が約一万四百戸、残りの大部分は小規模零細農家である兼業農家が占めているのが広島県の農業の姿です。  これまで農業を牽引してきた昭和一桁、昭和十年代生まれの世代を中心とする高齢層農家の離農が進んでいます。この高齢層農家の担い手として、兼業農家ではUターンやJターンによる団塊世代にバトンタッチされつつありますが、都会に出た全ての人が中山間地域に帰ってくるわけではないので、私の地元でも人手がおらず担い手不足が深刻になっております。  県では園芸作物を核に実践型研修施設を整備し、担い手の育成をJAや市町と連携して行っているところですが、これから深刻となってくる広島県の農業の大部分を占める兼業農家の米づくりの担い手をいかに確保していくかが喫緊の課題だと考えています。担い手を確保するには、広島県も多くの県が実施している、国の一年間百五十万円の研修支援の年齢制限四十五歳未満の引き上げや、定年帰農者など意欲ある就農希望者を対象にした栽培技術習得の支援を行うべきではないでしょうか。  そこで、広島県の農地の大部分を占める水田を維持発揮していくために、兼業農家の水田を引き継ぐ担い手の確保と育成にどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。 51: ◯副議長(宮 政利君) 知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 52: ◯知事湯崎英彦君) 中山間地域の水田を維持し、美しい田園風景を守っていくためには、農業生産活動に加えて地域住民の自助、共助による環境保全の取り組みが不可欠であると考えております。  さらに、中山間地域を活性化し、本県農業を持続可能なものとするためには、大規模な経営体など経営力の高い担い手が中心となった農業構造を確立することが重要であると考えております。  このため、環境保全の取り組みにつきましては、農地や農業用水路の維持などの共同活動を支援する日本型直接支払い制度の活用を推進するとともに、兼業農家の水田を引き継ぐ農業者が栽培技術を習得できるよう、農業塾の活用を推進するなど、市町やJAグループと連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。  また、経営力の高い担い手の確保・育成につきましては、来年度から対象年齢が引き上げられる国の研修支援制度を活用するとともに、農地中間管理事業による農地集積の加速化や企業経営に向けた人材育成、組織管理など、さまざまな課題を解決するための支援を実施しているところでございます。  こうした取り組みを進め、兼業農家と経営力の高い担い手が一体となって地域を支える農業構造を構築することにより、本県中山間地域の活性化に努めてまいります。 53: ◯副議長(宮 政利君) 桑木良典君。 54: ◯桑木良典君 答弁の中で、研修支援の年齢制限の引き上げについて言及していただきました。中国五県の中で広島県だけがまだ実施していないとお聞きしております。担い手の確保策の一つとして、ぜひとも早期に実現していただきたいということを要望しておきます。  次に、スマート農業の取り組みについてお伺いします。  AI、IoTなどを活用した第四次産業革命の取り組みは、農業の分野においてもスマート農業として技術開発が急速に進み、ここ一年で実証試験が行われるなど実用化されようとしています。  国は、農機メーカーや研究機関がこれまで個別に開発してきた先端技術を一元化し、農業現場で栽培管理などの数値データを解析し、熟練の作業ノウハウをAIが分析して素人でも農作業が簡単にできるように具現化を目指しています。また、作業ごとの導入ではなく、種まきや収獲などの作業を自動機械が行うことで無人化や省力化するなど、生産から出荷まで一貫した導入体系を開発、実証して全国的な普及に取りかかろうとしています。  大事なのは、これらの導入費用で機械メーカーだけがもうかるのではなく、農業生産額の一割以上の増加または生産コストの二割以上の低減を掲げ、まさにもうかる農業を目指しているということです。一例で言えば、露地野菜の場合では、経営や栽培管理システムの導入、自動走行トラクターの導入、発光ダイオードを活用した育苗施設、必要な場所に高速で局所的に肥料をまく機械の導入、ドローンによる生育診断、重量野菜の自動走行収獲機械及び自動運搬システムの導入などをパッケージとしてイメージしているとのことです。  このように農業が抜本的に変わり、きつい、汚い、危険の三K農業から、稼ぐ、効率化、簡略化の新三Kが農業の未来を切り開くキーワードになり、担い手確保などの農業を取り巻く環境もまさに革命と言われるほど今後著しく変化する可能性を秘めています。  そこで、担い手確保や育成に向け、国の施策と呼応して、中山間地域の実情に応じたスマート農業の導入に、今後、県としてどのように取り組んでいくのか、農林水産局長にお伺いいたします。 55: ◯副議長(宮 政利君) 農林水産局長上仲孝昌君。         【農林水産局長上仲孝昌君登壇】 56: ◯農林水産局長(上仲孝昌君) 中山間地域が大部分を占める本県において、経営力の高い担い手を育成するためには、生産力の高い技術の導入や労働力不足に対応する作業の省力化などを図る必要があり、AIやIoTを活用したスマート農業への取り組みは、重要な技術革新であると認識しております。  これまでにも、トマトの栽培における複合環境制御技術の活用やレタスの生産を行う植物工場などが稼働しており、また、最近では、土地利用型の水稲やキャベツなどにおいてもさまざまな省力化技術が開発され、本県でも導入されつつあります。  具体的には、大規模な米づくりでの水管理の遠隔・自動制御による省力化、圃場が分散しているキャベツ栽培での収穫予測システムを活用した的確な労務や圃場の管理などが試験的に取り組まれているところでございます。  しかしながら、これらの技術については、機械や機器の操作が複雑で生産者が十分に使いこなせていないことや、コストに見合う収益性などに課題があることから、今後の普及に当たっては、メーカーへの改善提案や費用対効果の検証などが必要となっております。  今後のスマート農業の推進につきましては、生産者と行政、民間団体が一体となって、技術の実証と改善を行い、次世代につながる生産性の高い農業経営の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 57: ◯副議長(宮 政利君) 桑木良典君。 58: ◯桑木良典君 質問の第七は、教員の負担軽減への取り組みについてお伺いします。教育長は答弁待機席へお願いします。 59: ◯副議長(宮 政利君) 教育長、答弁待機席へお願いいたします。 60: ◯桑木良典君(続) 新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導、運営体制を構築するためにも、学校における働き方改革が求められております。文科省が三年前、十年ぶりに行った調査によると、過労死ラインと言われる月八十時間残業を超えている教員が小学校で約三〇%、中学校で約六〇%に上るとされています。教員の多忙さは明らかであり、体調不良を訴える教員もふえているとお聞きしています。教員が授業を精力的にできなくなれば、当然、子供たちにも大きな影響が出ることが懸念されます。早急な改善が必要です。  広島県においても、教員の時間外の実態を把握し、それを踏まえた分析を行うとともに、昨年七月に学校における働き方改革取組方針を策定され、働き方改革を推進しているところです。  そこで、学校における働き方改革に関するこれまでの取り組みの成果をどう評価しているのか、教育長にお伺いします。 61: ◯副議長(宮 政利君) 教育長平川理恵君。         【教育長平川理恵君登壇】 62: ◯教育長(平川理恵君) 学校における働き方改革に関するこれまでの成果に対する評価についてお答えいたします。  教育委員会におきましては、平成二十三年一月に業務改善プロジェクト・チームを設置し、これまで、教員が行う事務的業務をサポートするスクールサポートスタッフの配置、成績処理などの教務事務等を効率的に行う校務支援システムの導入、夏季一斉閉庁、部活動休養日の設定などの取り組みを行ってきたところでございます。  こうした取り組みにより、平成二十七年度から三年間、業務改善モデル校を対象に実施した調査によりますと、教員が子供と向き合う時間が確保されていると感じる割合は、取り組み当初の平成二十七年五月と直近の平成三十年一月を比較いたしますと五二・八%から六九・二%に上昇しております。  また、持ち帰り時間を除いた教員一人当たりの一週間の勤務時間は、五十六・一時間から五十三・五時間に減少するなど、一定の改善が図られているものの、一層の取り組みが必要であると考えております。 63: ◯副議長(宮 政利君) 桑木良典君。 64: ◯桑木良典君 次に、学校現場や市町教育委員会の受けとめ方についてお伺いします。  働き方改革に当たっては、県教育委員会の取り組みだけでなく、当の学校現場や公立小中学校における一義的な取り組み主体である市町教育委員会の取り組みの強化も求められております。  そこで、教育長は着任されて以降、現場主義を掲げ、県内の学校を精力的に訪問しておられますが、学校現場や市町教育委員会における、働き方改革に対する受けとめはどうであったのか、教育長にお伺いいたします。 65: ◯副議長(宮 政利君) 教育長平川理恵君。 66: ◯教育長(平川理恵君) 学校におきましては、学校行事の精選や報告書などの様式の簡素化など、さまざまな業務改善を実施しており、学校の状況に応じ、できるところから取り組みを進めている実態が見受けられました。  一方、校長がリーダーシップを発揮し、みずからの権限と責任により、さらなる行事の精選や学校事務の簡素化など、できることがまだあるのではないかと伝えたこともありました。  また、市町教育委員会につきましても、夏季一斉閉庁の実施や定時退校日の徹底、市町独自の専門スタッフの配置などはふえてきておりますが、学校における働き方改革に係る取り組み方針が未策定の市町もあり、さらなる取り組みを進めていただく必要があると考えております。 67: ◯副議長(宮 政利君) 桑木良典君。 68: ◯桑木良典君 それぞれの学校において課題も把握していただいているというところでございます。  最後に、時間の関係もございますので、教員業務の負担軽減に対する取り組みについてお伺いいたします。  来年度、横浜市教育委員会では、教員の事務作業を補助する職員室業務アシスタントを新たに市立小中学校計三百五十六校に配置し、また、部活動の指導を専門とする市立中学校の部活動指導員を百三十人拡充すると発表しました。このほか、ICT──情報通信技術の支援員を小学校に年二十一回を上限に派遣するなど、教員の働き方の環境改善を進め、一連の教職員の働き方改革として六億四千二百万円を計上しているとのことです。
     横浜市教育委員会は今年度、時間外勤務月八十時間超の教職員の割合ゼロを掲げていましたが、多くの教職員の残業時間が、厚生労働省が定める過労死ラインの月八十時間を超えており、市教委は長時間勤務を是正したいと考えておられるとのことです。  広島県でも同様に、来年度、教員の事務作業を補助するスクールサポートスタッフを継続して配置するとともに、部活動指導員を拡充して配置されるとのことですが、一部の学校にとどまっています。全国的に教員の確保が困難になっている状況を踏まえ、教員志望者を本県へ引き込んでいくためにも、もっと思い切った取り組みが必要であると考えます。  そこで、学校の働き方改革に関するこれまでの取り組みの評価や学校現場や市町教育委員会の受けとめを踏まえ、今後、教員の業務の負担軽減にどのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。 69: ◯副議長(宮 政利君) 教育長平川理恵君。 70: ◯教育長(平川理恵君) 学校における業務改善を加速させるため、昨年末に市町教育委員会の業務改善担当者を対象に連絡会議を開催し、ほかの市町や他県などの効果的な事例の情報提供や意見交換を行ったところでございます。  また、本日、市町教育委員会の担当者や公立学校の管理職等を対象とした学校における働き方改革フォーラムを開催し、外部講師による働き方改革に向けた国の考え方や管理職が果たすべき役割、また、私自身が校長時代に実践した取り組み事例を紹介させていただくことにより、教職員の意識の醸成や取り組みの普及を図っていくこととしております。  加えて、本年一月には、文部科学省から、公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインが示され、各自治体に対しましても、同様の方針を策定するとともに、さらなる長時間勤務縮減のための取り組みが求められているところでございます。  教育委員会といたしましては、来年度中にこの方針を策定することとし、業務改善プロジェクト・チームを中心に、これまでの取り組みを確実に実施するとともに、固定観念にとらわれず、さまざまな角度から手だてを検討し、保護者や地域の方々の理解も得ながら、学校における働き方改革に努めてまいりたいと考えております。 71: ◯副議長(宮 政利君) 桑木良典君。 72: ◯桑木良典君 今、社会的にも多くの皆さんが関心を持っておられます。ましてや、学校現場の生徒の皆さん、児童の皆さん、先生方それぞれがしっかりと認識を持って、全体として取り組んでいかなければならないと、私自身感じておりますが、私もPTA活動の中で、教員が多忙をきわめる要因の一つに、本来であれば家庭や地域が担うべき子育ての部分を核家族化などにより学校や教員に委ねるようになった結果、業務範囲が拡大しているのではないかとずっと感じておりました。現在学校が担っている分野の中で、地域や保護者がみずからの役割を見詰め直し、担っていくことも必要であります。  先ほどございましたが、文部科学省の中央教育審議会は、先般、基準がなかった教員の残業時間の上限を月四十五時間とすることなどを柱とする答申をまとめました。これを守るとなると、一日の残業時間の目安は二時間程度となり、総授業時間数が変わらない中で、いきなり勤務時間を減らすことは実質不可能ではないでしょうか。残業時間の削減を達成するには、教員の業務の大幅な負担軽減を可能にする仕組みづくりとマンパワー増がどうしても必要です。学校の働き方改革を進める上で、スクールサポートスタッフによる業務サポートは大変有効であり、その増員が必要だと私は考えております。  横浜市のようにやる気になれば、本県でもできると思います。時間管理の徹底や業務の仕分けは学校の働き方改革を進める第一歩との専門家の指摘もあります。学校の働き方改革推進の実現に教育長の強いリーダーシップを期待して、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 73: ◯岩下智伸君 議長、関連……。 74: ◯副議長(宮 政利君) 関連質問を許します。岩下智伸君。         【岩下智伸君登壇】 75: ◯岩下智伸君 教育長にお尋ねしたいと思いますので、教育長は答弁待機席へ移動をお願いします。 76: ◯副議長(宮 政利君) 教育長、答弁待機席へお願いいたします。 77: ◯岩下智伸君(続) 教職員の働き方改革で、教員未配置解消は最重要課題であると考えています。  本会議質問初日に、この問題に関する質問と答弁がありました。答弁をまとめますと、臨時的任用教員については、本務者を配置することが望ましいことから、定数内臨時的任用教員の解消に向けて段階的に取り組んでいくこと、来年度採用予定者数の決定に当たって臨時的任用教員の解消を重視して検討し、解消に向けて中長期的に取り組んでいくこと、来年度は年度途中に欠員が生じた場合、加配により措置した教員を欠員が生じた学校で勤務させる柔軟な対応を行っていくと表明されました。  その中で、臨時的任用教員の解消に向けて取り組んでいきたいとの御答弁は非常に評価しています。しかし、一部気がかりな点についてお尋ねしたいと思います。  質問の第一は、臨時的任用教員の当初予算上の予定数は何名なのか、臨時的任用教員の確保のめどは立っているのか、また、平成三十一年四月一日時点で公立学校に配置すべき教員について現時点で確保できる自信はあるのか、あわせてお尋ねします。 78: ◯副議長(宮 政利君) 教育長平川理恵君。         【教育長平川理恵君登壇】 79: ◯教育長(平川理恵君) 臨時的任用教員の当初予算上の予定数は、一千四百三十人でございます。  臨時的任用教員の確保につきましては、県内外の大学等で説明会を実施し、臨時的任用教員の登録を促し、登録者に対する面接や、丁寧な情報提供等を行っているところでございます。  また、公立学校に配置すべき教員の必要数につきましては、新規採用者の確保に加え、定年退職者等に対する再任用の繰り返しの呼びかけを行い確保してまいりたいと考えております。  教育委員会といたしましては、必要数が確保できるよう、四月に向けて、引き続き、全力で取り組んでまいります。 80: ◯副議長(宮 政利君) 岩下智伸君。 81: ◯岩下智伸君 自信があるのかとお尋ねしたのですけれども、お答えいただけませんでした。恐らく自信があるのだろうと考えて、次の質問に移りたいと思います。  質問の第二は、広島県では、県民全体で、ネウボラによる出産から子育てまでの支援など、幅広く若い世代へのサポートを重点的に行っていることは御承知のはずです。  ところが、教員未配置の要因として、出産休暇二百二十三名、育児休暇二百六十四名、合計四百八十七名があり、配置に努めたが、一月末で二十六名が配置できていないとの発言がありました。また、平成二十年に比べて平成三十年は倍増しているといった発言もありました。出産を控えた方、子育てを頑張りたい方、これから妊娠を考えられている方にとって、教育委員会のトップが出産、子育てによる欠員で困っているという一連の発言は、問題があると思います。  出産・育児休暇についてマネジメントとして計画的に取り組んでいないことが問題の本質であり、それを個人の権利を制限するかのように受け取られかねない発言は、組織的なマタニティーハラスメントと指摘されかねません。教育長の見解をお尋ねします。 82: ◯副議長(宮 政利君) 教育長平川理恵君。 83: ◯教育長(平川理恵君) 出産休暇や育児休業の取得状況等につきましては、あくまで現状をお答えしたものであり、個人の権利を制限するような意図はございません。  こうした実態を踏まえ、教育委員会といたしましては、教員の未配置の解消に全力で取り組む考えをお答えしたものでございます。 84: ◯副議長(宮 政利君) 岩下智伸君。 85: ◯岩下智伸君 それはわかっております。しかし、その答弁を聞いた、働いておられる教員がどのように受けとめられたかということが大事だと思うのです。それが、結局、マタニティーハラスメントではないかと指摘したわけでございます。  文科省による平成三十年度公立小中学校教員定数に対する実配置の都道府県比較資料によりますと、正規、臨時的任用職員の教員定数に対する充足率は全国平均は一〇〇・五%ですが、広島県は全国最低、九七%です。一方、広島市が全国平均を上回る一〇一・五%という点は、御承知のことと思います。定数内にこだわった運用が、県内の子供たちに大きな負担を押しつけていると言わざるを得ません。  質問の第三は、加配により配置した教員を、欠員が生じた学校へ移動させる柔軟な対応を行うことについてです。  加配措置実施理由をお尋ねします。  また、配置を解除される学校の保護者などから苦情や反発が予想されます。これについて県の教育委員会としてどのような対応をお考えでしょうか。 86: ◯副議長(宮 政利君) 教育長平川理恵君。 87: ◯教育長(平川理恵君) このたび活用を予定している加配は、学校の諸問題に対応することにより、市町の教育体制を支援することを目的としたものでございます。  加配教員が不在となる学校につきましては、一時的に加配目的が十分に果たせない場合も想定されますが、代員の未配置による学校業務への影響を考え行うものであり、趣旨を御理解いただくよう、丁寧に説明してまいりたいと考えております。 88: ◯副議長(宮 政利君) 岩下智伸君。 89: ◯岩下智伸君 もう余り時間がありませんので、コメントしておきたいと思います。県は、適切な人員を配置する責務があると思います。関係のないほかの学校から安易に配置がえを行う対応は不必要な混乱を拡大させるだけであり、極めて慎重に検討されなければならないと申し上げて、質問を終わらせていただきます。(拍手)         【副議長退席、議長着席】 90: ◯議長山木靖雄君) 引き続いて質問を行います。下原康充君。         【下原康充君登壇】 91: ◯下原康充君 自由民主党広島県議会草莽の会の下原でございます。晴れてよし曇りてもよし富士の山もとの姿は変わらざりけりと吟じたのは、勝海舟とともに幕末の三舟の一人の山岡鉄舟で、義理の兄の高橋泥舟は、欲深き人の心に降る雪は積もるにつれて道を失うと詠んだ。従って、自戒を込めて、道理をわきまえることを旨として、質問に入ります。  質問の第一は、中山間地域の振興について、二点お伺いします。  一点目は、廃校を活用した地域振興対策についてお伺いします。  学校基本調査の結果によりますと、県内の学校は、平成元年度に一千六百五十四校ありましたが、少子高齢化や中山間地域を中心とした過疎化の影響により、平成三十年度には一千三百七十五校にまで減少し、単純な計算で約二百八十校が統廃合されたことになります。また、平成二十七年四月の調査では、全国七万五千六百六十二集落のうち、六十五歳以上が人口の五〇%以上を占める限界集落は調査対象の二〇・六%という結果であり、平成二十二年の調査時の一五・五%より五・一ポイント増加しております。人口減少時代にある今、今後、限界集落が一層増加していくことが予想されます。  こうした状況の中、県は、平成二十六年十二月に中山間地域振興計画を策定し、活力ある中山間地域の実現に向け、日常生活を支える医療や交通インフラ等の確保、基幹産業である農業を初めとする地域産業の振興など、幅広い取り組みを展開されております。特に、「ひろしま さとやま未来博二〇一七」は、将来のリーダーを発掘・育成するとともに、中山間地域の価値に共鳴する多くの人たちが地域を応援し、地域の外からも定期的にかかわりを持ちながら持続的な地域づくりにつなげていくことをコンセプトに掲げ、平成二十九年三月から十一月に開催されました。期間中、約四百万人が訪れるなど、将来に希望を持ち、安心して心豊かな生活を営むことができる中山間地域の実現に向けて、手応えを実感したイベントであったと思います。  そのさとやま未来博の象徴的な取り組みである廃校リノベーションプロジェクトは、広島県の田舎にある役割を終えた施設を、再び人が集い、新しいつながりが生まれる居場所に復活させようとする取り組みで、小学校の廃校舎など三つの施設を、地域に愛着を持つ人たちの手によって、再び人が集い、新しいつながりが生まれる場に再生するものでございました。もともと学校は、多くの人々がそこで学び、卒業してきた歴史のある場所であるだけでなく、かつて地域の人々が集い、にぎわいがあった場所であることに着目し、費用はクラウドファンディングも活用し、地域住民、地域外の興味を抱いている人、学生、地域おこし協力隊の方などが施設の改修イメージや活用のアイデアを共有しながら進められたこのプロジェクトは、半ば成功したものと思います。  反面、このモデル事業は、地域に思いを寄せる方が中心となって、それぞれの地域に根づく特色を生かして新たな価値をつくる取り組みであることから、そのマネジメントができるリーダーの育成や費用が必要となり、直ちに全ての地域や廃校になった施設に適用するには現実的ではないという側面もあります。  そこで、このたびの廃校リノベーションプロジェクトがほかの地域にも波及するよう、追加の支援が必要ではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。  二点目は、中山間地域の地域力強化についてお伺いします。  東広島市豊栄町には、豊かな自然環境やこれを背景とした農業の風土がありますが、ほかの中山間地域と同様に、人口減少や高齢化の進行に伴い、かつての経済的な活力や健全な地域社会が失われつつありました。そこで、食や農に精通する精米機開発のサタケは、農村の再生、活性化の一助となる取り組みを検討し、平成二十八年秋、豊栄町をモデルケースとした豊栄プロジェクトを発足させ、産官学民が連携し、人のきずなを大切にした元気なまちづくりや新たな雇用の創出などを通して活性化を図り、豊栄町にかかわる人全てを幸せにするとともに、人口増を目指す計画を立ち上げました。それから、空き家を改修し平成二十九年五月にオープンした、レストラン機能を備えた交流情報発信施設、豊栄くらすは、地域の持続可能性に大きく貢献しております。  また、神石高原町では、NPOここつなぎが、神石高原町と都市圏の場所、人、心をつなぐ活動に取り組んでおります。神石高原町ヒーロープロジェクトと題して、「みんなが自慢できる神石高原町に」を理念に掲げ、町の魅力を再発見しながら自分の生き方を考える特別授業を行っています。これは、NPOここつなぎの活動を見た先生が、町の魅力を見直す経験になるのではないかと、すぐに連絡をとって実現しているそうです。校長先生も、町を育てるアイデアにつながるのではと期待している取り組みです。  これらの取り組みは、いずれも、地域づくり活動の輪を広げていくための人材プラットホームであるひろしま里山・チーム五〇〇で紹介されており、さまざまな情報発信、共有を通して今後の取り組みの持続性や拡大が大きく期待されているところでありますが、他地域も含めた中山間地域の地域力強化の視点から、せっかく芽が出てきた取り組みに対してさらなる支援が必要ではないかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。  質問の第二は、持続的な農業のための兼業農家支援についてお伺いします。  二〇一五年農林業センサスによれば、平成七年に約六万戸あった県内の販売農家は、その後の二十年間で半分以下の約二万八千戸にまで減少しております。このうち、ほとんどが兼業農家の減少分であり、平成七年に約四万八千戸あった兼業農家は、平成二十七年にはわずか約一万八千戸に減少しています。また、平成二十八年四月の農地法の改正や平成三十年四月の種子法の廃止などにより、ますます農業がやりにくい状況となり、時代の流れとともに若い人々の農業離れが深刻な問題となっております。  そもそも、農業者が抱える高齢化や農業機械の維持、わずかな農業者年金ゆえに生活の安定性が望めない等の危機感を解消するため、法人化した者を対象に支援がされてきました。こうした状況を見る中で、私自身農業者であり、農業を維持するためには、法人への施策だけでなく法人ではない兼業農家の減少に歯どめをかけ、細々であっても農業が継続できる環境をつくり出す必要があると考えています。これが実現すれば、住んでいる地域で農業ができる機会の創出につながり、ひいては持続可能な農業が実現し、非農家の人々も安心して高品質で安全なお米や農産物を食べることができます。  そこで、これらの課題を克服し、豊葦原の瑞穂の国の光景を見るため、農業者、とりわけ法人に移行できず集落を守ろうとする兼業農家を優遇する補助制度を構築してはどうかと考えますが、知事に御所見をお伺いします。  質問の第三は、地鶏のブランド化についてお伺いします。  広島大学生物生産学部の都築教授が主催する家畜育種遺伝学研究室では、これまで世界レベルの鳥の開発を目指し、日夜研究に取り組まれてきました。そして、三年ほど前からこれまでの研究を生かしオリジナル地鶏の開発に着手され、現在は広島固有の鳥の作出を目指し、仮称ですが、広大赤鶏という新品種の開発を進められております。  このプロジェクトは産学官が連携し、地域の特色を生かしたブランド地鶏の開発とあわせて豊栄町で取り組んでいる試験飼育では、東広島市の農産物を飼料にして、鶏ふんを畑の肥料にする循環型農業の可能性も探っているそうです。当面の取り組みとして三万羽までふやし、三年後からの本格的な販売を目標に掲げており、東広島市は、セミナーの開催や上限十五万円の鶏舎の整備補助制度を設けて飼養者を募集するとともに、特徴的な名称をつけるなどによる付加価値をつけたい思いもあると伺っております。  確かに、広島と赤とくれば、広島東洋カープを連想される方は多いのではないでしょうか。このブランドに気のきいたカープ地鶏などの名称をつけてはどうかなどと、夢は膨らむばかりです。  一方で、全国には、愛知県の名古屋コーチンや秋田県の比内地鶏のように知名度の高いものもありますが、地鶏が開発されても、熊本県の天草大王などに見られる、生産量が少ないことや十分販路が確保できていないなどで全国レベルのブランド化とまでいかない例も多くあります。  そこで、このブランド地鶏開発について、さらなる付加価値向上や販路開拓などに向けて取り組みを進めている東広島市を県としても支援してはどうかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。  質問の第四は、近未来の社会に向けた施策について、二点お伺いします。  一点目は、未来の種となる人への投資についてお伺いします。  私は、人類の繁栄と発展に寄与する未来の種となる人への投資というテーマを常に念頭に置いているところですが、これからの日本が世界の各国との競争に打ち勝っていくためには、やはり、日本の財産は人しかないとの考えに至ります。また、人づくりという観点からは、目の前にあらわれる成果だけを求めるのではなく、今は成果があらわれなくても未来に向け頑張っていこうという人に対して長期的な展望で支援し、そして、支援される人の立場を重視し、自由度が高く活用しやすい取り組みが必要であると考えます。  こうした中、昨年十月、ノーベル生理学・医学賞を受賞された京都大学の本庶 佑特別教授は、寄附したノーベル賞の賞金を原資として有志基金を設立されました。基金の名称である有志とは、御本人の座右の銘である有志竟成から名づけられたもので、中国の歴史書に由来するこの言葉は、志を曲げることなく堅持していれば、必ずなし遂げられる。一見すると困難に見えても、かたい信念を持って事に当たればついには実現されるという意味を持つそうであります。基金設立の背景には、利益を優先し、短期的な成果があらわれにくい基礎研究に関する研究費が低迷し、日本の研究力が低下している現状があるとのことで、非常に残念に思うところでございます。  実際、ここ十年を見ても、我が国の科学技術振興費はおおむね一兆三千億円と、ほぼ横ばい傾向、大学等の運営費交付金は約七百億円が削減されるなど、我が国の研究環境の課題が指摘されております。こうした現状を踏まえると、もっと未来への夢を語ることができるような戦略が必要で、ノーベル賞授賞式会場である、ストックホルムへ行こうとの合い言葉のもと、若手研究者が未来に向けて頑張ろうと思える支援が必要ではないかと考えます。  そこで、本県が進める人づくりについて、若手研究者を支援する基金の創設など、未来の種となる人への投資においてどのように認識されているのか、知事の御所見をお伺いします。  二点目は、近未来の社会に向けた研究開発への支援についてお伺いします。  最近、トヨタを、自動車をつくる会社からモビリティーカンパニーにモデルチェンジするというコマーシャルを見かけます。また、一月十八日には、来年広島上空で流れ星をつくる実験をする小型ロケット、イプシロン四号が打ち上げに成功し、民間主導の宇宙ビジネスの大きな一歩が踏み出されました。数年先にはどんな社会になるのか、近未来はどんな社会が待ち受けているのか、大きな興味を持っております。  こうした中、本県では、地方創生に向けた取り組みの一つとして、政府関係機関の地方移転、誘致を積極的に進めてきたところであり、平成二十七年七月、全国第一号として、東広島市へ酒類総合研究所東京事務所が移転しました。また、平成三十年三月には理化学研究所の機能の一部が広島大学のイノベーションプラザ内に移転し、新たな研究拠点として広島大学と理化学研究所によるゲノム編集分野を中心としたライフサイエンス共同研究拠点がスタートしました。今後は、ゲノム編集技術の確立を目指す中国・四国地方における産学連携、イノベーション創出の拠点として大きく期待するところです。  再生医療や創薬を初めとした医療分野の先端技術は、今まさに急速な進化を遂げているところであり、ゲノム編集はiPS細胞を使った再生医療やがんゲノム医療などとともに大きく注目される分野であります。また、ゲノム編集は目的の遺伝子を狙って改変する技術であり、骨髄から取り出した患者の細胞をゲノム編集し免疫機能を持った細胞にして戻すことができれば、難病患者の治療に効果が大きいと期待されております。当然、倫理規範や安全性確認などの国際的な基準づくりは必要ですが、ゲノム編集の研究にAIを導入することにより効果や安全性を調査する試験等にかかる時間を大幅に短縮することができれば、そう遠くはない未来に病気は怖くない世の中が実現するのではないかと夢は膨らみます。  そこで、近未来の社会に向けた産学連携の将来有望な取り組みに対して県も積極的に支援をしてはどうかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。  質問の第五は、SDGsの精神に基づく取り組みについてお伺いします。  SDGsは、平成二十七年九月、国連サミットで採択された、十五年後の二〇三〇年を期限とする、人々が地球環境や気候変動に配慮しながら、将来の世代の欲求を満たしつつ現在の世代の欲求も満足させるような、持続可能な開発目標であります。我が国では、平成二十八年五月、安倍総理を本部長とするSDGs推進本部が設置され、地方公共団体におけるSDGsの達成に向けた取り組みを日本の未来をつくる国家戦略の主軸に据え、地方創生の実現に資するものとして推進されております。  県は、昨年六月、平和で包摂的な社会の推進を達成目標に掲げる自治体として推進本部からSDGs未来都市として採択を受け、国際平和の実現に向けた取り組みを進められております。これは、マルチステイクホルダーのパートナーシップにより平和の取り組みを生み出すプラットホームを構築するだけでなく、地元企業の意識醸成と起業の促進や平和に貢献する若手人材の育成などもあわせて推進していくものです。  このように、SDGsの精神は、核となる目標の達成に向けて、それに関連するさまざまな分野にも取り組みを進めていくものであり、その中で多くの効果を生み出し、ひいては住民の生活の質の向上に寄与するものであることから、自治体によるSDGsの推進は、地方創生に資する取り組みとして大変有意義であると考えております。  そこで、平和で包摂的な社会の推進に加えて、ほかの施策においても、積極的にSDGsの精神に基づく取り組みを進めてはどうかと考えますが、知事の御所見をお伺いします。  質問の第六は、公立学校図書館の活性化についてお伺いします。  子供の読書活動は、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身につけていく上で欠くことのできないものであり、社会全体で積極的にそのための環境の整備を推進していくことは極めて重要であることから、文部科学省は、平成三十年四月、新たな「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」を取りまとめました。この計画の中で、読書活動を推進していくための方策のうち、小・中・高校等における学校図書館の機能強化として、資料や施設等の整備、充実と人的配置の推進が掲げられております。  本県においても、平成二十六年十二月に策定した広島版「学びの変革」アクション・プランに基づく、児童生徒等の資質・能力の向上を図り主体的な学びを促進する取り組みの中で、平成三十一年度、県内の公立学校の図書館についてリニューアルを支援するための予算を提案されております。この事業は、小・中・高校と特別支援学校で数校ずつモデル校を選定し、各学校において蔵書の入れかえやレイアウトの改善などを進めると伺っております。傷みのひどい図書を更新し利用者の関心が高い本を購入するほか、必要に応じて書棚の配置を工夫するなど、図書館の魅力を向上させ、利用しやすい環境を整えるものです。さらに、これらの実施過程においては、過去に同様の事業の経験を有する児童文学者から助言を得ながら児童生徒や地域のボランティア等も参加すると聞いており、大きな期待を寄せているところです。  私は、この取り組みを確かな成果とするため、資料や施設等の整備、充実だけでなく、人的配置の推進についても取り組みを進める必要があると考えており、これに不可欠なのが学校司書の配置であると考えております。  そこで、これまでの司書教諭を中心とした学校図書館の活用だけでなく、学校司書を新たに配置するなど、直接的なレファレンスによって子供たちが図書の魅力を直接肌で感じることができる取り組みを進めるべきであると考えますが、教育長の御所見をお伺いします。  質問の第七は、平成三十年七月豪雨における対応の検証と今後の対応について、二点お伺いします。  一点目は、七月豪雨災害を踏まえた県民の避難行動の調査についてお伺いします。  七月豪雨により、本県では、二月七日現在、災害関連死を含めて百二十六名の方が亡くなりましたが、土石流などによる直接死の多くは自宅やその周辺で犠牲になりました。この被害が拡大した要因の一つは避難のおくれであると指摘されており、実際に避難所へ避難した方の割合が極めて低いことが課題となっております。  広島市では、平成三十年七月豪雨災害における避難対策等検証会議を設置し、避難情報の発令・伝達と避難行動、避難所における被災者の支援等、被災者の生活再建支援及び周辺被災自治体への支援の四項目について検討し、昨年十二月二十七日、市長に避難対策等の検証とその充実に向けた提言が報告されました。この検証会議では、昨年九月から十月にかけて実施した、七月豪雨での避難行動や避難情報の入手方法等に関するアンケート結果の分析について、七割以上の方が避難勧告や避難指示が発令されていたことを把握していたにもかかわらず、避難所以外も含む避難者はわずか二二%と、その避難情報が必ずしも避難行動に結びついていなかった事実が改めて浮き彫りになり、避難につなげるためには災害の危険性をみずからのこととして認識する必要があると指摘されたところです。  現在、本県においても七月豪雨災害を踏まえた県民の避難行動の調査を実施されており、面接調査を終え、今後郵送調査を進めていくと伺っております。この調査は、災害の発生に直面した場合において県民が命を守るための適切な避難行動を実践するためのものであることから、次の災害が起こる前に、できるものから段階的に取り組んでいくなど、より実効性の高い方策を進めていくことが必要であると考えます。  そこで、現在、県が実施している避難行動の調査の進捗状況はどのようなものなのか、また、調査結果を踏まえ、「みんなで減災」県民総ぐるみ運動を今後どのように取り組みを進めていくつもりなのか、知事に御所見をお伺いします。  二点目は、自主防災組織の育成強化についてお伺いします。  私の地元である東広島市黒瀬町に洋国団地という団地があります。この団地は、七月豪雨で発生した土石流で多くの住家が被害を受けましたが、あらかじめ自主防災会の中で高齢者等の避難を助ける担当者を決めており、土石流が発生する前に避難していたため、幸いにも死者やけが人はいませんでした。
     私は、昨年十一月の決算特別委員会においてこのことを紹介し、七月豪雨を踏まえた自主防災組織育成の今後の取り組みについて質問したところ、危機管理監から、このたびの豪雨災害における活動状況を調査しており、その結果を分析した上で、より効果的な防災リーダーの育成や組織の活性化のための方策を構築することによって、自主防災組織の一層の強化に努めるとの答弁がありました。また、知事は、一月三十一日、みずから洋国団地を視察され、自主防災会の代表者を訪問し、活動状況等の意見を交わされました。そして、引き続き共助の取り組みを推進するため、来年度の当初予算に自主防災組織育成強化事業として一千四百万円余を提案されております。この現場起点の取り組みには、私自身、評価するところであります。  私も、被災直後、現場で生の声を聞かせていただく中で、やはり、いざ我が身に危険が迫っている状況で実際に高齢者等に避難行動を実践していただくためには、平時から相当根気強い取り組みを継続し、地域で信頼関係を構築しておかなければ成立しないものであるということを強く感じております。  そこで、このたびの豪雨災害における自主防災組織の活動状況をどのように分析され、その結果を踏まえ、今後どのように効果的な防災リーダーの育成や組織の活性化を図っていくのか、知事に御所見をお伺いします。  さて、我が国を取り巻く周辺の環境は厳しい状況にあります。  ロシアとの平和条約締結交渉での北方領土問題の駆け引き、韓国を含む朝鮮半島の対日反動的な日々の言動や行動、隣国でありながらサンフランシスコ講和条約に招請されず、GHQ占領下の間にラスク書簡や国際ルール無視で李承晩が国境線を勝手に引き、中国の東・南シナ海における行動。  考えてみれば、一九四五年のヤルタ会談からドイツ・ベルリンのように西と東に分かれてから、一九八九年のジョージ・ブッシュ元米大統領と当時のロシア社会主義連邦、ソビエト共和国のゴルバチョフ元書記長が地中海のマルタ島で会談をして終わったとされる冷戦が、経済の世界では存在していたのではないか、それが今日の米中貿易戦争によって表に出たのではないかと思うのは間違いだろうか。アメリカのINF全廃条約破棄は二国間の話ではなくて、根底に対中国があるのではないか、そのために中距離弾道ミサイルの再開発に乗り出す。ロシアはマッハ二十五以上で飛ぶミサイルを完成させた、北方領土に日米安保は認めないと言う。中国は月の裏にまでも手を伸ばしてもぎ取ろうとしている。  覇権ということに対峙するための方法の一つの集団的自衛権から憲法改正まで、国内において議論されるものがそうした国々から干渉される。我が国は普通の国となったのか、そんな周辺の状況であります。  そんな中、世界には日本に対して国や人として対応してくれる国があります。  一つは、エルトゥールル号の国、トルコ共和国であります。日本の横浜港からの帰途、木造船の軍艦の修理を進めたが、そのまま出港し、和歌山県串本町大島樫野崎沖で台風による猛烈な波浪と強風により座礁、海軍少将以下五百八十七名が殉職、生存者わずか六十九名、大島島民は不眠不休で救助に当たりました。以来、トルコは親日として、九十五年後に日本に対して恩返しをしてくれました。つまり、イラン・イラク戦争のとき、トルコからの二機の救援機派遣を受け、二百十六名の日本人が救われたのです。  二つ目は、申すまでもなく、リトアニア領事代理であった東洋のシンドラーと呼ばれる杉原千畝氏のユダヤ人に対する二千百三十九通のビザの発給で、およそ六千人が救われた。  三つ目は、苦しいときに本当の友人がわかるということわざの国、ポーランド共和国です。およそ百年前の一九一八年に第一次世界大戦が終結してポーランドは独立を回復したが、ロシア革命の内戦の影響でシベリアのポーランド人は祖国への帰還が困難となり、生活は困窮。餓死者が続出し、シベリア在住のポーランド人の救済委員会のアンナ・ビエルキェヴィッチ女史は日本に窮状を訴えた。時の原内閣の海軍大臣で広島市出身の、後に内閣総理大臣になった加藤友三郎も了承、かかわった一人であった。わずか二週間後に筑前丸が福井に向けて出港、さらに明石丸などがポーランド孤児たち約八百人を運び、孤児たちは東京の福田会育児院に収容された。第二陣は、大阪市立公民病院に収容されたのです。  そして、ポーランド共和国は孤児救援のことは忘れていなかったのであります。平成七年と平成八年に阪神・淡路大震災の被災児童らをポーランドに招待し、八十歳を超えていたであろう当時のポーランド孤児たちとの対面を通じて励ましたのです。また、平成二十三年の東日本大震災で被災した岩手県と宮城県の子供たちを招待しました。さらに、かつてポーランド孤児たちを受け入れ養護してくれた福田会の児童たちも招いています。百年前のポーランド孤児救出劇への感謝はいまだ忘れられてはいない。  ともに広島とポーランドは、戦争の悲劇の経験があります。原爆とアウシュビッツに見られるジェノサイドであります。だからこそ、その歴史の教訓を生かして平和な国に向けてSDGsを実践していく。くしくも、ことしは日本とポーランドとの国交樹立百年を迎えます。私たちは、こうした世界の中で次代がどうあるべきかを常に問い続けていく、平和で安全で安心して生きることのできる世界にしていく、このことこそが我々政治家に課せられた使命ではないのか、そんなことを思い続けています。  いよいよ平成が終わろうとしています。明治天皇の御世には乃木希典将軍が、昭和天皇には鈴木貫太郎総理がそばにいました。今上天皇陛下にはどうであったのか、次の天皇陛下には誰がと思いながら、新たな元号のもと、この乱世を人類の英知を結集して乗り切り、頑張っていかなくてはならない。  ジョン・F・ケネディ元大統領は、自信を持って恐れることなく、私たちは努力を続けなければならない。人類絶滅の戦略に向かってではなく、平和の戦略に向かってと言い残している。  所感を申し述べ、質問を終わります。御清聴に感謝します。ありがとうございました。(拍手) 92: ◯議長山木靖雄君) 当局の答弁を求めます。知事湯崎英彦君。         【知事湯崎英彦君登壇】 93: ◯知事湯崎英彦君) まず、廃校を活用した地域振興対策についての御質問でございます。  さとやま未来博のシンボルプロジェクトとして実施いたしました廃校リノベーションにつきましては、一定の役割を終えた既存施設を、地域の内外の多くの方々による知恵と工夫で新しい価値を持つ施設に再生するためのモデル事業として、それぞれ立地環境が異なる三施設で実施したものでございます。  このプロジェクトを契機に、対象となった施設の視察や、リノベーションにかかわった地域の方々との意見交換、クラウドファンディングの活用に向けた検討など、他の地域におきましても廃校等の利活用に向けた主体的な動きが徐々に広がりを見せ始めており、プロジェクトの成果としての波及効果があらわれているところであります。  一方で、外部から幅広く協力者を求めるための人材の紹介や、活用事例などについての幅広い情報提供とノウハウの共有、リノベーションによる地域づくりを学ぶワークショップなどの機会の提供といった、行政による側面的な支援を求める声も寄せられているところでございます。  こうした状況を踏まえまして、今年度から、新たに県庁内に設置しております地域づくりの相談窓口を通じて、人材のマッチングや事例紹介、関係機関による支援制度の紹介など、必要に応じて個別の支援を行うとともに、共通の関心を持つ方々による交流会やワークショップの開催など、幅広い取り組みを行っているところでございます。  また、地域におきまして廃校活用などの事業を進める場合には、これを支える人の存在が重要な役割を果たすものと考えており、実践活動の具体的な手法を学ぶ人材養成塾や、産学金官の関係者で構成するさとやま未来円卓会議を通じた活動への助言、意欲ある方々の活動を後押しするクラウドファンディングへの支援など、多岐にわたるサポート体制のもとで地域を支える人材の育成に取り組んでいるところでございます。  今後とも、こうした取り組みを通じまして、廃校を初め、地域に埋もれた資源を強みとして積極的に生かそうとする皆様の意欲的な活動を、しっかりと後押ししてまいりたいと考えております。  次に、SDGsの精神に基づく取り組みについてでございます。  持続可能な開発目標、いわゆるSDGsは、二〇一五年の国連サミットにおきまして全会一致で採択されたものであり、誰ひとり取り残さない、持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、経済、社会、環境をめぐる広範な課題に対して十七の目標を設定し、統合的に取り組むこととされております。  国におきましては、日本国内で既に達成されている目標が含まれていることなどを踏まえ、働き方改革や女性の活躍などを含むあらゆる人々の活躍の推進、データヘルス改革などを含む健康・長寿の達成など、八つの分野に再構成した実施指針を策定し、各施策を展開しているところでございます。  また、目標達成に向けたさまざまな施策につきましては、国だけでなく地方も一体となって取り組む必要があることから、国のまち・ひと・しごと創生基本方針におきましても、地方公共団体によるSDGs達成に向けた取り組みを支援することとしております。  このため、本県におきましては、八分野のうち平和と安全・安心社会の実現につきまして率先して国に提案し、全国二十九のSDGs未来都市の一つに選定されたところでございます。  具体的には、国際平和のための世界経済人会議の開催を通じた企業、NPOなど多様な主体の参画促進や、オンライン平和学習による青少年への平和学習の機会の提供など、平和の取り組みが自律的に生み出される仕組みを構築する中で、SDGsの達成に貢献することを目指し、取り組みを進めているところでございます。  また、SDGs実施指針に基づく国のアクションプランにおきましては、女性活躍情報の見える化の徹底や、総合的な子供の貧困対策の推進、AI、IoT等の社会実装への支援など、さまざまな取り組みが掲げられております。  こうした取り組みは、ひろしま未来チャレンジビジョンにおける、さまざまな状況にある人々が仕事と暮らしを追求し、個性と能力を発揮できる欲張りなライフスタイルの実現に向けた本県の取り組みと、その多くが重なるとともに、これらの取り組みは、SDGsの達成に寄与するものと認識しております。  こうしたことから、引き続き、国の施策と連動した本県の取り組みをさらに推進するとともに、二〇三〇年の目標達成を目指して行動するSDGsも踏まえ、新たなビジョンの検討に着手してまいります。  次に、七月豪雨災害を踏まえた県民の避難行動の調査についてでございます。  本県では、これまで、県民の皆様一人一人の適切な避難行動につながっていくよう、自主防災組織や事業者等と一体となって「みんなで減災」県民総ぐるみ運動を積極的に進めてまいりました。  こうした中、このたびの豪雨災害における実際の避難行動の状況を踏まえますと、災害に直面した場合に適切な行動を実践していただくための取り組みが必ずしも十分ではなかったものと受けとめております。  そのため、昨年十月から開始いたしました、被災地にお住まいの方を対象とする避難行動に関する面接調査では、それぞれの行動の詳細な理由などの把握に努めてきております。  この面接調査は年内に終了し、現在、約五百名の方々から得られた証言に基づき、防災や行動経済学、行動心理学等の有識者で構成する研究チームにより、お一人お一人が置かれた状況下で避難を決断した理由、また、逆に避難をしなかった理由、避難を考えるに当たって障害となった要因などについて分析を進めております。  この分析に基づきまして調査項目を検討し、四月には被災地の方々を対象とする五千人規模の郵送調査を行うこととしております。  加えまして、十一月には全市町の一万人を対象に、ことしの梅雨時期や台風時期における実際の避難行動に関する郵送調査を実施することとしております。  これらの調査に基づいて、災害に直面した際の意思決定と避難行動に影響を与えた要因、家にとどまるのではなく避難することを選択していただくために必要な要素などを導き出してまいりたいと考えております。  その上で、「みんなで減災」県民総ぐるみ運動の、より一層の充実強化に反映させることとしております。  なお、研究チームによる分析過程におきまして、県民の皆様の行動を後押しする新たな知見が得られましたら、機動的に対応策を追加してまいりたいと考えております。  こうした取り組みを通じまして、今後とも、災害死ゼロに向け全力で取り組んでまいります。  次に、自主防災組織の育成強化についてでございます。  災害発生時において適切な避難行動をとっていただくためには、共助のかなめとなる自主防災組織が有効に機能することが重要であると考えております。  このため、市町が行う防災リーダーの養成への支援や研修事業によるスキルアップ、自主防災アドバイザーの派遣による組織の活性化などに取り組んでいるところでございます。  現在、昨年十月から十二月にかけて実施いたしました自主防災組織実態調査結果を分析中でございますが、このたびの七月豪雨災害におきましては、多くの自主防災組織では避難の呼びかけが実施されなかった一方で、防災リーダーが中心となって避難の呼びかけを行った地区では、避難をされた方が比較的多かったことがわかっております。  こうしたことを踏まえ、来年度は、自主防災組織による防災リーダーを中心とした避難の呼びかけが行われるよう、十組織をモデルに、呼びかけのタイミングや方法、呼びかけに必要な人数などを検討し、効率的かつ効果的な避難の呼びかけ方法の構築に取り組むこととしております。  あわせまして、要配慮者につきましては、呼びかけに加えて避難を支援する人や方法を定めることとしております。  また、このモデル事業による成果を他の自主防災組織に波及させるためには、それぞれの自主防災組織の状況に応じ避難の呼びかけを行う人材の確保や、平常時から多くの地域住民が参加する訓練を繰り返し実施することが必要であることから、波及の取り組みを行う中で効果的な防災リーダーの育成や組織の活性化に努めてまいります。  こうした取り組みを通じ、効率的かつ効果的な避難の呼びかけ方法を県内全域に波及させることによって、災害に強い広島県の実現を目指してまいります。  その他の御質問につきましては、担当説明員より答弁させていただきます。 94: ◯議長山木靖雄君) 地域政策局長小寺 洋君。         【地域政策局長小寺 洋君登壇】 95: ◯地域政策局長(小寺 洋君) 中山間地域の地域力強化について御答弁いたします。  中山間地域の振興につきましては、地域に暮らす人々が、将来に希望を持ち、笑顔で幸せな生活を実感できることを目指して、全ての活力の原動力となる人づくりに重点的に取り組んでいるところでございます。  具体的には、実践的なノウハウを学ぶ人材養成塾や、地域貢献に高い意欲を持つ首都圏の若者と地域のマッチングを図る取り組みなどを実施し、平成二十九年には、こうした人材のネットワークづくりを加速させるため、さとやま未来博を開催いたしました。  こうした取り組みを通じまして、地域づくり実践者の活動を支援するために立ち上げたひろしま里山・チーム五〇〇の登録者は大幅に増加し、地域の課題解決に向けたさまざまな活動が始まっております。  今後、中山間地域の活力をさらに強化していくためには、こうした地域づくりに主体的にかかわろうとする若い世代の動きを一過性に終わらせず、より確かなものとして持続的な地域づくりにつなげていくことが重要であると考えております。  こうした観点に立ちまして、今年度から、新たな取り組みとして、意欲ある人材の活動の発展を後押しするクラウドファンディングへの支援や、さとやま未来円卓会議を通じた事業計画への助言など、多方面からの取り組みを効果的に推進し、活動の一層の活発化を支援しているところでございます。  こうした取り組みを通じまして、中山間地域にかかわる多様な人材の自主的、主体的な活動が将来にわたって継続、発展していくよう、引き続き、支援策の実効性を高めつつ、中山間地域を支える人づくりを積極的に進めてまいります。 96: ◯議長山木靖雄君) 農林水産局長上仲孝昌君。         【農林水産局長上仲孝昌君登壇】 97: ◯農林水産局長(上仲孝昌君) 二点の質問についてお答えいたします。  まず、持続的な農業のための兼業農家支援についてでございます。  本県の中山間地域は、これまで、大多数を占める兼業農家の水稲を中心に農業が営まれ、維持されてまいりましたが、近年、人口の流出や高齢化の進展によって、地域コミュニティー活動を初め、農地や自然環境の保全が困難になってきているものと認識しております。  こうした中、県では、兼業農家に対しまして、日本型直接支払制度などにより地域の共同活動による農地や農業用水路などの維持管理を支援するとともに、こうした活動が継続して実施できるよう、予算の確保に努めているところでございます。  しかしながら、中山間地域において持続可能な農業を実現するためには、これまで地域を支えてきた兼業農家に加えて、大規模な経営体など経営力の高い担い手が中心となった農業構造を確立することも重要であると考えております。  このため、経営力の高い担い手の育成に向けて、農地中間管理事業によるまとまった優良農地の確保、企業経営への発展に向けたひろしま農業経営者学校や県と専門家で構成するチーム型支援などに取り組んでいるところでございます。  県といたしましては、こうした取り組みを進めることにより、引き続き、兼業農家と経営力の高い担い手が一体となって地域を支える農業構造を確立し、中山間地域の農業・農村の持つ豊かな自然環境や景観が保全されるよう努めてまいります。  次に、地鶏のブランド化についてお答えいたします。  東広島市におきましては、地域の特色を生かす地鶏の開発を目的に、県や民間団体などが参画した東広島ブランド地鶏開発振興協議会を平成三十年四月に設立し、広島大学との共同研究により三年間をかけて新たな地鶏を誕生させ、本格的な生産に移行することとしております。  これまで、協議会では、大学での地鶏の開発を進めるとともに、農業法人などにおいて試験的な飼養を行っており、また、鶏舎などの施設整備、先進地視察や試食会などにも取り組まれているところでございます。  今後は、さらなる飼養者の確保や適切な生産技術の確立などの課題があることから、収益性向上の取り組みや飼養管理マニュアルの作成などにより、安心して地鶏を飼うことができる環境を整えることが必要となっております。  県といたしましては、協議会の構成員として新たな地鶏飼養者への飼養衛生管理指導などを行うこととしており、技術的な課題の解決が図られるよう、関係機関と連携しながら支援してまいりたいと考えております。 98: ◯議長山木靖雄君) 経営戦略審議官山根健嗣君。         【経営戦略審議官山根健嗣君登壇】 99: ◯経営戦略審議官(山根健嗣君) 未来の種となる人への投資についてお答え申し上げます。  人は、経済、医療、福祉、教育など、あらゆる分野における力の源泉となるものであり、このため、人づくりにつきましては、本県の最重要施策の一つとして位置づけ、乳幼児期における家庭教育への支援や質の高い教育・保育の推進、初等中等教育段階におきましては、これからの社会で活躍するために必要な資質や能力の育成を目指した主体的な学びを展開する広島版「学びの変革」アクション・プランの推進など、幼児期から社会人まで一貫した取り組みを進めているところでございます。  このような中において、将来にわたって日本が活力と競争力を維持していくためには、さまざまな研究による新たな発見や発明は大きな強みとなるものであり、未来に向けた人への投資は大変重要であると認識いたしております。  また、その一方で、先端的な研究への支援につきましては、主体となる大学はもとより、国や科学技術振興機構などの関係機関、さらには民間企業、そして行政が一体となって取り組んでいくことが重要であると考えております。  こうした中、本県におきましては、将来の成長分野であるバイオテクノロジーにおいて、その中核的な技術となるゲノム編集の国内の第一人者が広島大学におられることから、日本を代表する理化学研究所の誘致に取り組み、昨年三月に広島大学ゲノム編集研究拠点との共同拠点を開設するといった新たな動きも生まれております。  また、昨年十月には、ものづくりのデジタル化に関する最先端の研究開発を進める新たな事業が国に採択され、著名な研究者の招聘による若手研究者の育成や、広島大学における新たな大学院研究科の設置など、これまでにない、中長期的な人材育成を視野に入れた取り組みを進めることとしております。  こうした取り組みを通じ、大学における先端的研究や高度人材育成を県内産業と結びつけることで、地域産業の振興と人材育成、集積の好循環を生み出すとともに、先端的研究の分野における人づくりに向けて、国、大学、さらには先端的研究の出口となる民間企業との連携を一層強化することなどによりまして、次の時代への飛躍につながる人材の育成を積極的に後押ししてまいります。 100: ◯議長山木靖雄君) 商工労働局長佐伯安史君。         【商工労働局長佐伯安史君登壇】 101: ◯商工労働局長佐伯安史君) 近未来の社会に向けた研究開発への支援についてお答えいたします。  本県経済が持続的に発展していくためには、二十年、三十年後を見据え、中長期的な視点から、将来の市場拡大が見込まれる産業を育成することが重要であると考えております。  ゲノム編集技術につきましては、農林水産業等の品種改良や医療における疾患の治療、バイオ燃料の開発まで幅広い産業への応用が期待されております。  このような中、広島大学におかれましては、県内外の二十三企業が参画する産学共創コンソーシアムの取り組みとして「ゲノム編集による革新的な有用細胞・生物作成技術の創出」研究プロジェクトの実施や、ゲノム編集イノベーションセンターを設置されるなど、ゲノム編集技術における教育、研究や産学連携の中心拠点としての発展を目指されているところでございます。  一方、本県も参加しております大学、研究機関、民間企業、行政、支援機関等で構成する広島リサーチコンプレックス推進協議会では、ゲノム編集技術を核とした地域発イノベーションの創出や、研究成果の地域産業への波及の方策が検討されているところでございます。  本県といたしましても、大学、研究機関や県内外の企業等のニーズを踏まえ、幅広い産業への応用が期待できるゲノム編集技術など、二十年、三十年先の将来を見据えた基礎研究への支援について、産学官連携による取り組みを検討、展開してまいりたいと考えております。  また、ゲノム編集技術のほか、シミュレーションを駆使したものづくりのプロセス全体のデジタル化についても、産学金官の連携により、国の交付金も活用しながら、大学の機能、知見を活用した先端研究への支援や研究成果の検証、実証環境の整備に取り組んでいるところでございます。  今後とも、産学金官で連携しつつ、本県の持つ強みを最大限に生かしながら、中長期的な視点に立った新たな分野の産業の育成に取り組んでまいります。 102: ◯議長山木靖雄君) 教育長平川理恵君。         【教育長平川理恵君登壇】 103: ◯教育長(平川理恵君) 公立学校図書館の活性化についてお答えいたします。  読書活動は、子供たちが言葉を学び、表現力を高め、創造力を豊かなものにするとともに、豊かな感性を育み、人生をより深く生きる力を身につけていく上で欠くことのできないものであり、学校図書館は、子供たちの読書活動を支える場として大きな役割を担っていると考えております。
     また、児童生徒の資質・能力の育成を目指した主体的な学びを促す学びの変革の全県展開を着実に進めるためには、学校図書館の持つ読書、学習、情報収集といった機能の充実も欠かせないものだと考えております。  このため、平成三十一年度は、モデル校を指定し、図書資料や施設の整備、充実に加え、学習活動を支援したり、情報ニーズに対応するため、新たに司書資格を有する者を配置するなど機能の充実を図り、学校図書館のさらなる活性化に努めてまいります。 104: ◯議長山木靖雄君) 明日も引き続いて質問を行います。明日は午前十時三十分から会議を開きます。  本日はこれをもって散会いたします。         午後三時六分散会 発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...